第一〇七六四八八星辰荘へようこそ ~あるJC2の異種間交流~(セリフマシマシバージョン)

京衛武百十

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日常編

混沌とした街

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「お~い! おいてくぞ~!」

「は~い!」

その日は、朝からガゼやメジェレナと一緒に、ライブに行くことになった。と言っても、ライブ自体は夕方からなので、ライブのついでにあちこち寄って遊ぼうというのが主旨なのだが、メジェレナは普段の様子からは信じられないくらいに張り切っていた。

ライブ会場の近くは、地球で言うとちょうど秋葉原的な、さまざなカルチャーが混沌とした感じで同居しているという、不思議な街である。

「お~! こりゃすげ~!」

普段はアニメ三昧でインドア派なガゼも、その独特な雰囲気には心を掻き立てられるものを感じ取っていたようだった。特に、アニメ関係の店には引き付けられ、思わず飛び込んでしまった。

「うはは! すげ~! すげ~!!」

おもちゃ屋に来た子供のように目をキラキラとさせて、ガゼは店内を歩き回っていた。ユウカもアニメは好きだが、グッズを買い漁るようなタイプではないのでそこまでははしゃがないものの、UMAをモチーフにした人形などが並んでいるのを見ると、「わあ!」と思わず声を上げてしまっていた。

そうして、何だかんだとしているうちに、ガゼもユウカも両手いっぱいにグッズを買い込んでしまっていたのだった。

「ど、どうしてこうなった…!?」

店を出てから我に返ったガゼが呆然とそう言ったが、それは決して後悔から出た言葉ではなかった。むしろあまりの楽しさに、『まんまと乗せられてしまった自分が気恥ずかしい』というニュアンスだったのだろう。

ユウカも、

「ホントにね」

と恥ずかしそうにUMAグッズが詰まった紙袋を下げて同意した。

付き添っていただけのメジェレナは、UMAグッズを前に、

「うわ~! うわ~!」

と、ガゼと変わらないくらいに目をキラキラさせて語彙力を失っていたユウカに苦笑いを浮かべるしかなかったが。

「荷物は取り敢えずゲート近くのコインロッカーに預けとこう」

メジェレナの提案に従い、それから一休みする為にお茶にすることにした。

オープンテラスのカフェで三人でクレープを頼み、メジェレナはさらにパンケーキを頼んだ。実は、甘いものに目がないのだ。今度はメジェレナが、

「うふふ、うふふふふふふ♡」

とキラキラした顔を見せることになった。

「だらしない顔!」

ガゼはそう言うが、それはお互い様というものだろう。それに、ガゼもクレープに舌鼓を打ち、頬が緩んでいたのだから。ユウカも同様だった。

そうして寛いでいる時、

「?」

ユウカは何かの気配を感じて思わず振り返っていた。そこにいたのは、長身で黒尽くめで真っ白な肌に真っ赤な目をして無表情にユウカを見下ろしている人間であった。

「レルゼーさん…!?」

思わず声を上げる。

そこにいたのは、ロックバンド<レルゼリーディヒア>リーダーの、カハ=レルゼルブゥアだった。

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