第一〇七六四八八星辰荘へようこそ ~あるJC2の異種間交流~(セリフマシマシバージョン)

京衛武百十

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日常編

ある意味じゃ不老不死

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『う~……』

ヒロキと親しげに話すユウカの姿を見ると、今でも少し胸がざわざわとなってしまうのは確かだった。だけど、だからといって腹が立つとか許せないとか、そういうのではなかった。感情的にどうというより、僅かにわだかまりが残ってしまっているというところだろうか。

だけどそれは仕方ないのかもしれない。人間は完全に何もかもを割り切ってしまえる生き物じゃない。不平不満が何一つない状態なんて恐らく有り得ない。だからその時のガゼの状態は、むしろ健全と言えたかもしれない。ここで全く何も感じないなら、以前の彼女のことを思えばかえって問題があったと言えるのではないだろうか。

モヤモヤしながらもそれを冷静に受け止めて感情的になってしまわないことが一番いい状態なのかも。

そしてガゼは敢えてヒロキに問い掛けた。

「あんたは地球に残してきた恋人のことを想い続けてて、それで本当に幸せなの?」

「!?」

さすがにその質問には、店内の空気が一瞬凍ったが、当のヒロキがふわっと微笑わらったことですぐに緩んだ。

「幸せかそうじゃないかって言ったら、たぶん、幸せだと思う。少なくとも僕自身は不幸だと感じてないから。

ただ、一つだけ悲しいことがあるとしたら、僕は、彼女を傍で看取ってあげることができないってことかな……

彼女はちゃんと歳を取っていくのに、僕はいつまでもこのままだ。ある意味じゃ不老不死ってことなんだろうね。

不老不死の辛さはいろいろ言われてるけど、まさか自分がそれを実感することになるとは思わなかった。

父が亡くなったのは順番から言えば当然だから悲しいのは悲しかったけどまだ納得ができた。だけど、美嘉ねえや僕の友達や娘までも年老いて亡くなっていくのを見届けるのって、結構きついね……」

それは、<書庫ここ>に来た者が大なり小なり味わうことだった。それなりにネットワークなどが発達した文明を持った惑星出身の人間なら、ついつい自分の生まれ故郷のことを調べてしまうことがある。

ユウカは地球にいい思い出がなく親しい相手も殆どいなかったからさほど気にならなかったし、ガゼの故郷は今なお紛争に明け暮れて寿命をまっとうできる者の方が少ない。仲間達が明日をもしれない世界で生きているのに自分だけがこんなところでのんびりしているという後ろめたさはありつつも、そもそもガゼ自身、敵の攻撃で命を落としてここに来たのだからあまり気にすることではない筈だった。

他の者達も、いろんな事情で命を落としてここにきた。だから本当は自分が親しい人達を置き去りにしてしまった筈なのだが、こうしているとその実感がなくなってしまうというのも事実であった。

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