第一〇七六四八八星辰荘へようこそ ~あるJC2の異種間交流~(セリフマシマシバージョン)

京衛武百十

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日常編

皆から愛される少女

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仕事帰りのガゼと一緒に、ユウカはいつもの銀河湯に来ていた。

「あらユウカ、こんばんは」

「ガゼちゃんもこんばんは」

顔馴染みの常連客とも、

「こんばんは」

と気軽に挨拶を交わすその姿は、もうすっかり<書庫ここ>の住人のそれだった。ここに来たばかりの頃、誰とも上手く話せずいつもおどおどとしていた彼女はもういない。

明るくて朗らかで穏やかな笑顔で皆から愛される少女がそこにいた。

脱衣所で気にせず裸になる様子も堂に入ったものだ。ここではいちいち他人の裸など気にしている人間はいない―――――訳でもないが、そういうこと自体、もうそんなに気にならなくなっていた。

ユウカがそうやって自然に振る舞うようになったから、ガゼの方も変に意識することもなくなっていた。慣れたといえば語弊があるにしても、ユウカはいつだって自分の傍にいてくれる、一緒にお風呂だって入ってくれるというのが当たり前になると、何となく焦る必要も慌てる必要もない気がしてきた。

また、ここのところユウカとの関係でいろいろあったり、しかもそれを乗り越えたことで、ガゼ自身にも気持ちに余裕ができたというのもあるのかもしれない。

ユウカはいつだって自分を大切にしてくれる。認めてくれる。受け止めてくれる。それが今は実感できる。

「ガゼちゃん。頭洗ったげるよ」

そう言われて「うん」と笑顔で応えて、落ち着いて洗ってもらうこともできていた。

「どう? どこか痒いところない?」

と訊かれて、

「う~ん、足の裏?」

なんて軽口を返すこともできるようになった。しかもユウカも、

「そうか~、足の裏か~」

と言いつつガゼの脚を掴んで本当に足の裏を掻こうとしたり。

「あひゃひゃひゃひゃ! ごめん、ごめんなさ~い!」

などとついはしゃぎすぎて、

「こら、あんまり騒がないの」

といつも顔を合わすおばさんに注意されて、

「ごめんなさい」

って二人して謝ったり。

とにかく自然に気負うことなく二人でいる時間を楽しむことができるようになっていた。

お風呂からあがってフルーツ牛乳を二人で飲んで、さっぱりほかほかになってアパートに帰った。

決して広くないし便利でもないおしゃれでもない部屋だけど、それで何も困ることはなかった。ユウカが必要としてるものは何でもそこにあった。アパートのみんながいてくれて、笑顔があって、温かい気持ちがあって、それで十分に満たされていた。

地球で過ごした十四年間はもう遠い過去になり、ここでの時間こそがユウカのすべてになっていた。

だからもう、迷うことは何もなかった。

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