第一〇七六四八八星辰荘へようこそ ~あるJC2の異種間交流~(セリフマシマシバージョン)

京衛武百十

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日常編

すれ違い、宇宙

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ガゼの焦りが暴走してしまったことで、二人の関係が若干ぎくしゃくしていることに周りの人間は気付いていた。

ユウカがガゼを嫌ってるとかそういうのではない。むしろ逆だろう。お互いに気を遣いすぎてよそよそしくなっているという感じだった。

「だからって私の部屋に来られても…」

ユウカの部屋に居辛くなって、ガゼはメジェレナの部屋で膝を抱えて丸くなっていた。

「うるさい! ほっといて!」

「いや、だからここは私の部屋……」

逆ギレするガゼに困惑しながらも、メジェレナは追い出すようなことはしなかった。

『ガゼの気持ちも分かる気がするし……』

メジェレナ自身にもこういう時期があった。

『私も、他人の気遣いすら痛くて、構われたくなかったな……』

それでつい、声を荒げてしまったりもする。

『今のガゼの姿は、その時の私だな……』

と察してしまって何も言えなくなってしまった。

なので、

『こういう時は取り敢えずそっとしておくのが一番なんだろうな。

なにしろ、あの頃の自分はそれを望んでたし……』

と、放っておくことにした。以前ほどガゼのことを疎ましくも感じていない今ならそれができた。

一方、ユウカはユウカで、ガゼの為に用意した夕食を前にうなだれていた。

ガゼにされたことについてはもう許してる。その気持ちに気付いていて、それでも我慢してくれてるガゼに甘えていた自分にも責任があるとユウカは感じていたのだった。

「ごめんね、ガゼちゃん…」

これまでにも何度も口にした言葉がまた漏れる。あの日以降、事あるごとにそう謝ってきたのだ。しかしガゼにとってはそれがまた苦痛だった。自分がやったことでユウカに謝らせてしまっている自分自身が許せなかった。かといってここで『それは違う!』って強く否定すると、ユウカはさらにユウカ自身を責めてしまうだろう。そういう性分だということはガゼにも分かっていた。だから言えなかった。

お互いに相手のことを気遣っているのに、どうしてこんなことになってしまうのか。人間関係というのは実に難しい。

出勤する時も帰宅する時も別々になっていた。

『また、部屋を探さなきゃいけないかな……』

ガゼがそんなことを考えていたその時、アイアンブルーム亭で夕食を食べていたユウカの前に、また、あのヒロキという青年が現れた。

「あれ? 今日は一人なんだ」

と声を掛けながらユウカの前に座る。

ヒロキが店に入ってきた時、その姿を見たラフタスが『ごめんね~、席がいっぱいなんだ。相席でいいかな』と言ってユウカと相席にさせたのだ。実際には空席もあったというのに。

ラフタスなりの気遣いなのだった。

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