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日常編

みんなと一緒に楽しみたい

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しばらく滝の美しい風景を堪能したユウカ達一行は、それからまた下流へと向かって歩きだした。

「もうちょっと開けたところでシートを広げよ」

ガゼがそう言って先導する。

シートを広げて食事をする場所を確保したいというのもあったが、キヨターキは、キヨーの滝そのものでは遊べないものの、その下流でなら川に入って遊ぶこともできるので、川で遊びたかったのだ。

「ここだ、ここがいいよ!」

いい感じの開けたところを見付けてガゼが声を上げる。「そうね」とマニが荷物を降ろして手際よくレジャーシートを広げて寛げるようにした。

「ちょっと早いけど食事にしましょう」

マニが弁当を開けて並べていく。様々な種類のサンドイッチや唐揚げやフルーツの盛り合わせが華やかさを醸し出していた。

「マニさんの料理、相変わらず美味しそうですごいなあ」

ユウカが感嘆の声を漏らす。

「ありがとう。たくさん食べてね」

山のような筋肉質な体と角張った顔にも拘らず<母親>の顔を見せるマニに違和感を覚える者はもういない。ユウカにとってもすっかり見慣れた姿だからだ。

「いただきま~す!」

清涼な空気に包まれた緑の中で、穏やかな食事が始まる。いつも無表情なレルゼーを除けば皆が笑顔だった。

それでも、

『レルゼーさんも落ち着いてるみたい…』

ユウカはそう感じてた。それが分かるのは、もう結構な長い付き合いになるからだ。

なお、ユウカとガゼ以外は酒も飲むが、今日は酒は持ってきていない。だからクォ=ヨ=ムイはこなかったのだが、今回はあくまでユウカの為のピクニック。酔っぱらって騒ぐのはまた次の機会にということだ。

「ピクニックって、こんなに楽しかったんだ…」

思わずそんなことを呟いてしまう。

当然か。ユウカは家族でピクニックなど行ったこともないし、友達がいなかったからか学校の遠足も好きではなかった。

いつも一人で弁当を食べて、帰りは痛む足を引きずってただ辛かった記憶しかない。

『遠足が楽しみって子もいたけど、私は嫌いだったなあ……』

なのに今は、そんな昔が嘘のように楽しかった。周りの環境が変わるだけでこんなにも感じ方が変わってしまうのかとも思った。

「ガゼちゃん、メジェレナさん、マニさん、レルゼーさん、ヌラッカさん、ありがとう……」

そう言ったユウカの目に光るものがあった。けれどガゼが言う。

「なに言ってんのユウカ。こんなのまだまだ序の口だよ。もっともっと一杯楽しいことがあるんだから、一緒に楽しも!」

幼い子供そのままの満面の笑顔のガゼに、ユウカも思わず微笑み返す。

「そうなんだ。じゃあ、もっともっと教えて。私、みんなと一緒に楽しみたい」

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