第一〇七六四八八星辰荘へようこそ ~あるJC2の異種間交流~(セリフマシマシバージョン)

京衛武百十

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日常編

二人の気持ち

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ガゼは、すごくワガママで身勝手で自分本位な女の子だった。それは事実だ。だが、それと同時に、時間さえかければそんな自分を恥じて反省することができる女の子でもあった。ユウカは、それを知っていたのだ。

だからこそ可愛いと思うし、

『ガゼちゃんが自分で気付いてくれるまで待ってあげたいと思えるんだ……』

とも。

ユウカにとってもガゼは大切な人だから。

『引っ込み思案で気弱で自分の気持ちをちゃんと他人に伝えられない私のことをこんなに想ってくれるなんて、感謝の気持ちしかないよ……』

そういう意味では間違いなく大切な人だった。ただ、それを恋愛感情と結び付けるにはピンとこないというだけなのだ。

いずれそれができるようになる時が来るかもしれないし、来ないかもしれない。それはその時になってみないと分からないことなのだろう。だからこそその時まで一緒に待とうと思う。一緒にその結論を確かめたいと思う。そう思える相手なのだから。

「ガゼちゃん……私もガゼちゃんのこと大好きだよ。

ガゼちゃんが私のことを大好きな気持ちと、私がガゼちゃんのことを大好きな気持ちはもしかしたら違うものかもしれないけど、好きなのは間違いないの。だからもし、それが違っててもいいって言ってもらえるんだったら、これからもガゼちゃんと仲良くしていたい……」

それは、ある意味では残酷な物言いだったのかもしれない。

『あなたの気持ちは受け入れられないけど、私の気持ちは受け入れてほしい』という、身勝手極まりないものだったのかもしれない。

でもそれは、この時のユウカにとっては確かに正直な気持ちだった。その正直な気持ちを伝えて、それでもしガゼが自分から離れていくのならそれは仕方のないことだと思った。

「ユウカって何気にヒドイこと言うよね……私にそれを選ばせるんだ……」

ユウカの胸に顔をうずめたままで、ガゼが呟いた。

「ごめん……やっぱりヒドイよね……」

ガゼを抱き締める腕に思わず力がこもる。そんなユウカにガゼは言った。決して大きな声ではないけれど、胸に顔をうずめたままだけど、ガゼは確かにはっきりと言ったのだ。

「いいよ……ヒドイのはお互い様だし……

私が好きになったのは、そんなヒドイことを何気に言っちゃうユウカだから……

ユウカ…、大好き。ずっと一緒にいたい。ユウカと一緒に暮らしたい……

ユウカの大好きと私の大好きが違っててもいい。いつかそれに耐えられなくなって離れることになってもいい。でも今は一緒にいたいの……」

人間はそれぞれ違う。それは当然のことだ。そしてだからこそ、互いにどのくらいその違いをすり合わせることができるのか確かめる為に<試す>のだ。

人間同士が一緒に暮らすというのは、結局はそういうことなのかもしれない。

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