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日常編

たかぶるガゼ

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ユウカとガゼとメジェレナの三人でアニメを見ていた時、ポロン!とユウカの携帯から通知音が発せられた。見ると画面に、

『ランジェリーショップ<四号室>。営業中です』

の文字が。四号室のシェルミ555647が帰ってきて、ランジェリーショップが営業を始めたことを知らせるメッセージだった。

「シェルミさん、帰ってきたんだ。後で寄ってみよっと」

ユウカがそう声を上げる。

四号室のシェルミは現在、アーシェスの後任としてエルダーの仕事をしていた。その為、部屋にいないことが多く、当然、シェルミが副業で経営しているランジェリーショップもその間は開店していないので、シェルミが帰ってきて開店したら通知が届くようにしてあったのだった。

『ヘロヘロになってきたパンツとかあるからな~』

とユウカが思った通り、そろそろくたびれてきた下着があったので、買い替えの時期に来てたというのもある。

「……!?」

するとその時、異様な気配を感じてユウカが視線を向けると、膝に座っていたガゼが真っ赤な顔をしてハアハアと息を荒くして、自分を見ているのに気が付いた。

「な、なに…?」

若干怯えながらユウカが尋ねる。

「要らなくなったランジェリー、欲しい」

「あのねぇ……」

涎さえ垂らしそうに自分を見るガゼに、さすがに頭を抱えた。するとそれを察したメジェレナが、

「ただの変質者だよね。気持ち悪い」

と容赦ない突っ込みを。

でもまあメジェレナの言うことももっともだった。同性なのをいいことにそういうことを隠そうともしないガゼにも困ったものである。

とは言え、実はガゼの惑星では長い戦乱の為に物資が不足しており、使える物は何でも再利用するというのは当然という習慣もあった。

が、この時のガゼの様子から見れば、明らかにそういうものでないことは分かる。

「うっさいわ! あっちいけシッシッ!」

ガゼは足をシュッシュッと繰り出しそう言った。

体術の達人であるが故にその仕草は美しいと言っていいほどに綺麗に真っ直ぐ足が伸びていた。

だがそれと同時に、ワンピースの裾から下着が見えても気にしない。こういうところは今でも子供っぽいと言えるだろう。まあ元より、二千歳を大きく超えるメジェレナに比べればまだ二桁のガゼなど確かにほんの子供ではあるが。

「はいはい、私、ちょっと行ってくるね」

アニメが終わって次の番組が始まるまでの間にささっと行ってこようと、ユウカはガゼを抱き上げて床に降ろした。

「あ~ん、私も行く~!」

立ち上がるユウカに背後からガゼが飛びつく。

「もう、しょうがないなあ」

少し困った風に笑いながらも、ユウカもそんなガゼのことは可愛いと思っていた。

「じゃあ、私も行こうかな」

部屋を出ようとするユウカとガゼに、メジェレナも腰を上げたのだった。

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