第一〇七六四八八星辰荘へようこそ ~あるJC2の異種間交流~(セリフマシマシバージョン)

京衛武百十

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転生編

本当に一人暮らしを始めたんだなあ

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『あれ…マウスとかってどうするんだろう…?』

画面にカーソルらしいものが表示されているからマウス操作と思ったが、肝心のマウスがない。どうしようと思って何気なくEIpodに触れると、カーソルが僅かに動いた。

「あ、もしかして…?」

もしやと思ってEIpodそのものを動かしてみると、

「わあ、これがマウスにもなるんだ。すごーい」

と思わず声が出た。

「キーボードは…?」

そう呟きながら、画面の端に表示されていたキーボードらしきアイコンをクリックすると、テーブルに光のキーボードが表示された。EIpodの側面から光が出てて、それがテーブルの上にキーボードを映し出しているようだった。プロジェクションキーボードと言われるもののようだ。

「すごいすごい」

はしゃぎながらテーブルに映し出されたキーボードを叩くと、画面にはやっぱり知らない文字が映し出された。

「う~ん、意味は分かるんだけど、なんかやっぱり見にくいなあ…」

と、どうにも違和感が残ってしまう。

「ん~と、これかな…?」

そこで<言語切り替え>と書かれたキーに触れてみると、<地球語>と描かれたダイアログが画面に表示されて、一覧の中に日本語もあった。

「すご~い、日本語もある…!」

この時のユウカは知らなかったが、実は操作している人間の種族を感知し、惑星単位まで自動で絞り込んでくれる機能があったのだ。それをクリックすると、キーボードの表示が見慣れたアルファベット表示のものになり、試しに打ち込んでみるとローマ字入力になっていたのだった。

「お~っ!」

<書庫>の中では、ここを作った種族の言語が共通言語とされてるものの、それをわざわざ覚えようという者はほとんどいなかった。それぞれ自分が慣れ親しんだ言語を使ってるだけである。それが自動で翻訳されるのだから何も困らないのだ。そのことを責める者もいない。責める必要もない。

興奮してあれこれページを見て回ったりしてたものの、

「う~ん、やっぱりちょっと使いにくいかな……パソコンもあった方がいいかも……」

さすがにマウスもキーボードも兼ねた一体型の入力デバイスというのは少々使いにくいし、ネットをしてるとテレビが見られないというのも辛いと感じた。なのでやはりノートPCのようなものがあればと思ったのだった。

その後もアニメを見たりネットしたりとしているうちについ夜更かししてしまい、

「あ…! ヤバッ……!!」

若干興奮した状態のまま一人でベッドに横になった。

『思ったほどはさみしくないもんだな~。アニメ見られるからかな…』

と思った。

確かにそれが心の余裕になってるのかもしれない。それに、メジェレナやシェルミもこのアパートにはいる。ポルネリッカやヘルミのことは少し不安でも、住人同士でなにかトラブルになってるような様子もない。だから心配する必要はないんだと感じた。

『私…、本当に一人暮らしを始めたんだなあ……』

その実感をしみじみと噛み締めながら、ユウカはいつしか眠りについていったのだった。

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