81 / 112
牢獄の女怪
最高の結末
しおりを挟む
そしてミカは、排泄も済ませ、昨日、大量に自らに放たれた精がいまだに零れ落ちてくるのを丁寧に拭い、排泄物と汚水が入った桶は、朝食のトレイを取りに来た元奴隷の囚人に渡し、身嗜みを整え、この時点での最善の自分を目指した。
汚くみすぼらしい自分であっては、『ざまあみろ』と思う者もいるだろうが、同時に、『可哀想』と思われてしまうこともあるだろう。それでは駄目なのだ。
自分を憎む者達が溜飲を下げる瞬間は、ちゃんと用意されている。
ならばその時までは、多くの国民にしっかりと憎まれ続けなければいけない。
どんなに痛めつけても折れることのなかった、屈することのなかった、恐ろしく憎らしい<悪女>が、ギロチンで首を刎ねられて死ぬ。
まさに最高の結末ではないか。
それを実現するためには、自分は<可哀想な女>であってはいけないのだ。
こうしてミカは今日も<務め>を果たした。
一番手はやはり看守長だった。
「……お前、平気なのか……?」
昨日は<初日>だったこともあって希望者が殺到し、朝のうちから夜まで休みなく男達に嬲られ続けたはずにも拘らず、今朝も昨日とまるで変わらず平然としているミカに、看守長の表情は強張りさえした。
「……」
けれど、ミカは応えることなくするりと服を脱ぎ捨て、ベッドへと横たわった。
その姿に、看守長はゴクリと喉を鳴らす。
『いや……男なしじゃ生きられねえ<淫売>なら俺も何度か見たことあるけどよ、こいつはそういうのとは違う…まったく別の<何か>だ……
なるほど、こいつなら眉一つ動かさずに、泣き叫ぶ小娘をギロチンにだって掛けそうだ……』
そんなことを思いつつも彼女を抱くと、あたたかくて柔らかくて、包み込まれるような気さえした。
それを実感し、看守長は悟った。
『そうか……これが<神>って奴か……
人間とはまったく別の道理で成り立ってるものだ……
くっそ……俺達なんかじゃ太刀打ちできねえよ……』
と。
そうだ。この女は、いや、<これ>は、きっと、首を刎ねたとしても、<神代の国>とやらに帰るだけで、今、自分が抱いている肉の体も、結局は<仮初の現し身>とやらに違いない。
だから、どれほど男共に嬲られようと、ギロチンに掛けられることが決まろうと、こうして平然としていられるのだ。
などという考えが頭をよぎって恐怖さえ感じるのに、それなのに……
『ちくしょう…! 離れられねえ……っ!』
この女に包まれていること自体が<幸せ>で、離れたくないのだ。
それでも、何度か精を放てば、名残惜しさは強く残っても、どうにか体を離すことはできた。
『……この女は駄目だ……これ以上抱いたら俺はこの女のために命すら投げ出すだろう……
近付いちゃいけねえ……人間が触れちゃいけねえ存在なんだ……!』
こうして看守長は、二度とミカを抱こうとはしなかった。
もっとも、他の男達が彼女に溺れる分には、口出しすることもなかったが……
汚くみすぼらしい自分であっては、『ざまあみろ』と思う者もいるだろうが、同時に、『可哀想』と思われてしまうこともあるだろう。それでは駄目なのだ。
自分を憎む者達が溜飲を下げる瞬間は、ちゃんと用意されている。
ならばその時までは、多くの国民にしっかりと憎まれ続けなければいけない。
どんなに痛めつけても折れることのなかった、屈することのなかった、恐ろしく憎らしい<悪女>が、ギロチンで首を刎ねられて死ぬ。
まさに最高の結末ではないか。
それを実現するためには、自分は<可哀想な女>であってはいけないのだ。
こうしてミカは今日も<務め>を果たした。
一番手はやはり看守長だった。
「……お前、平気なのか……?」
昨日は<初日>だったこともあって希望者が殺到し、朝のうちから夜まで休みなく男達に嬲られ続けたはずにも拘らず、今朝も昨日とまるで変わらず平然としているミカに、看守長の表情は強張りさえした。
「……」
けれど、ミカは応えることなくするりと服を脱ぎ捨て、ベッドへと横たわった。
その姿に、看守長はゴクリと喉を鳴らす。
『いや……男なしじゃ生きられねえ<淫売>なら俺も何度か見たことあるけどよ、こいつはそういうのとは違う…まったく別の<何か>だ……
なるほど、こいつなら眉一つ動かさずに、泣き叫ぶ小娘をギロチンにだって掛けそうだ……』
そんなことを思いつつも彼女を抱くと、あたたかくて柔らかくて、包み込まれるような気さえした。
それを実感し、看守長は悟った。
『そうか……これが<神>って奴か……
人間とはまったく別の道理で成り立ってるものだ……
くっそ……俺達なんかじゃ太刀打ちできねえよ……』
と。
そうだ。この女は、いや、<これ>は、きっと、首を刎ねたとしても、<神代の国>とやらに帰るだけで、今、自分が抱いている肉の体も、結局は<仮初の現し身>とやらに違いない。
だから、どれほど男共に嬲られようと、ギロチンに掛けられることが決まろうと、こうして平然としていられるのだ。
などという考えが頭をよぎって恐怖さえ感じるのに、それなのに……
『ちくしょう…! 離れられねえ……っ!』
この女に包まれていること自体が<幸せ>で、離れたくないのだ。
それでも、何度か精を放てば、名残惜しさは強く残っても、どうにか体を離すことはできた。
『……この女は駄目だ……これ以上抱いたら俺はこの女のために命すら投げ出すだろう……
近付いちゃいけねえ……人間が触れちゃいけねえ存在なんだ……!』
こうして看守長は、二度とミカを抱こうとはしなかった。
もっとも、他の男達が彼女に溺れる分には、口出しすることもなかったが……
0
お気に入りに追加
17
あなたにおすすめの小説
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子
ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。
Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。
私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?
新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。
※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!
【R-18】クリしつけ
蛙鳴蝉噪
恋愛
男尊女卑な社会で女の子がクリトリスを使って淫らに教育されていく日常の一コマ。クリ責め。クリリード。なんでもありでアブノーマルな内容なので、精神ともに18歳以上でなんでも許せる方のみどうぞ。
父が死んだのでようやく邪魔な女とその息子を処分できる
兎屋亀吉
恋愛
伯爵家の当主だった父が亡くなりました。これでようやく、父の愛妾として我が物顔で屋敷内をうろつくばい菌のような女とその息子を処分することができます。父が死ねば息子が当主になれるとでも思ったのかもしれませんが、父がいなくなった今となっては思う通りになることなど何一つありませんよ。今まで父の威を借りてさんざんいびってくれた仕返しといきましょうか。根に持つタイプの陰険女主人公。
オークションで競り落とされた巨乳エルフは少年の玩具となる。【完結】
ちゃむにい
恋愛
リリアナは奴隷商人に高く売られて、闇オークションで競りにかけられることになった。まるで踊り子のような露出の高い下着を身に着けたリリアナは手錠をされ、首輪をした。
※ムーンライトノベルにも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる