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歴史上最も忌むべき悪女
重大な証言
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「ミカ様…お暇を頂きたく思います……」
翌日、ネイサンは何の前置きもなくミカにそう申し出た。しかしミカも、
「そうか。好きにするがいい」
などと平然と受け入れ、さっさと後任を決めてしまった。ただし、その後任にあてがった控室は、ウルフェンスやネイサンが使っていたものとは違っていたが。しかもウルフェンスとネイサンが使っていた部屋については、
「役立たずの使っていた部屋など忌々しいだけだ」
と、不用品を置くための物置としてしまったのである。
なお、<盗聴>されていたからといって簡単に心折れて自分の役目を投げ出してしまったように見えるネイサンを批判する者もいるだろうが、彼にとってショックだったのは、自分が盗聴されていたというよりも、ミカがウルフェンスのことさえ信用していなかったのか?ということがショックだったようだ。
ウルフェンスは本当に献身的にミカを支えていたというのに……
この後、ネイサンはトルスクレム王国の知己を頼って出国したのが確認されたのを最後に、行方知れずになってしまったのだという。
噂によると、国や王族や貴族というものに関わることが心底嫌になり、世捨て人のように人里離れた奥地へと引きこもってしまったとか。
もっとも、ミカは少しも気に掛けようともしていなかったらしい。
そしてこの頃には、彼女に反発する者達によるデモが頻発し、帝国内は不穏な空気に包まれていた。
ミカは、そのデモにおいても、暴徒化した者がいればやはり容赦なく断罪していく。
その一方で、暴徒による被害を受けた者に対しては、すぐさま家や店舗を再建するなど、迅速な救済措置を取った。
また、暴徒ではないデモ参加者については、たとえ自身についてどれほどの暴言や悪態を吐いていてもやめさせるようには指示しなかったとも。
だからか、王宮近くの貴族の屋敷には、屋敷の主たる貴族の呼びかけで集まったデモ隊が陣取り、連日、王宮に向かってシュプレヒコールを挙げていたという。
そして、夏の気配が見え始めた頃、反ミカの急先鋒とされる貴族<バリースト卿>が議会に参考人として招致した、元傭兵で現在は軍の要職にあった軍人から、ミカの<悪行>に関する重大な証言を引き出すことに成功した。
その証言とは、
『私はマオレルトン領の者達については、今後、国を盛り上げていく上で数に入れておらん。なので、敵の攻撃を受け止める盾に使っても構わんし、囮に使っても構わん。貴公の好きに使え。彼らのようなやる気のない者でもそういう形であれば国の役に立つだろうし、それこそが彼らにとっての栄誉だろう』
と、ミカがルブルースを操るために彼に吹き込んだ内容についてのものであった。
翌日、ネイサンは何の前置きもなくミカにそう申し出た。しかしミカも、
「そうか。好きにするがいい」
などと平然と受け入れ、さっさと後任を決めてしまった。ただし、その後任にあてがった控室は、ウルフェンスやネイサンが使っていたものとは違っていたが。しかもウルフェンスとネイサンが使っていた部屋については、
「役立たずの使っていた部屋など忌々しいだけだ」
と、不用品を置くための物置としてしまったのである。
なお、<盗聴>されていたからといって簡単に心折れて自分の役目を投げ出してしまったように見えるネイサンを批判する者もいるだろうが、彼にとってショックだったのは、自分が盗聴されていたというよりも、ミカがウルフェンスのことさえ信用していなかったのか?ということがショックだったようだ。
ウルフェンスは本当に献身的にミカを支えていたというのに……
この後、ネイサンはトルスクレム王国の知己を頼って出国したのが確認されたのを最後に、行方知れずになってしまったのだという。
噂によると、国や王族や貴族というものに関わることが心底嫌になり、世捨て人のように人里離れた奥地へと引きこもってしまったとか。
もっとも、ミカは少しも気に掛けようともしていなかったらしい。
そしてこの頃には、彼女に反発する者達によるデモが頻発し、帝国内は不穏な空気に包まれていた。
ミカは、そのデモにおいても、暴徒化した者がいればやはり容赦なく断罪していく。
その一方で、暴徒による被害を受けた者に対しては、すぐさま家や店舗を再建するなど、迅速な救済措置を取った。
また、暴徒ではないデモ参加者については、たとえ自身についてどれほどの暴言や悪態を吐いていてもやめさせるようには指示しなかったとも。
だからか、王宮近くの貴族の屋敷には、屋敷の主たる貴族の呼びかけで集まったデモ隊が陣取り、連日、王宮に向かってシュプレヒコールを挙げていたという。
そして、夏の気配が見え始めた頃、反ミカの急先鋒とされる貴族<バリースト卿>が議会に参考人として招致した、元傭兵で現在は軍の要職にあった軍人から、ミカの<悪行>に関する重大な証言を引き出すことに成功した。
その証言とは、
『私はマオレルトン領の者達については、今後、国を盛り上げていく上で数に入れておらん。なので、敵の攻撃を受け止める盾に使っても構わんし、囮に使っても構わん。貴公の好きに使え。彼らのようなやる気のない者でもそういう形であれば国の役に立つだろうし、それこそが彼らにとっての栄誉だろう』
と、ミカがルブルースを操るために彼に吹き込んだ内容についてのものであった。
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