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歴史上最も忌むべき悪女

商人時代の友人

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「久しぶりだね、ミカ」

「ああ…私がウルフェンスの屋敷に入って以来か……」

「あんたが王妃様なんて、上手くやったもんね」

「まあね…自分でも驚いてる。私としては裏からこの国を操れれば良かったんだけど」

「やめてよ。それじゃあたしとシェア奪い合うことになるじゃん」

「うん。だから結果的には良かったと思う」

「で、こうやってあたしに渉りを付けてきたってことは、いよいよってこと?」

「そういうこと。好きに儲けてくれていい。売り物がどんどん手に入るだろうからね」

「そいつはご機嫌だ。こっちとしてもあらかた片付けた。八割方、あたしの声一つで動く。貴族でもなんでも消してみせるし売ってみせる。死体だって無駄にはしない」

「その言葉が嘘じゃないことを祈るよ」

ウルフェンスには商人時代の友人に会うと告げて、店の外で待つように命令した。実際、この時、ミカの前にいた抜け目無さそうに笑う女性は、商人時代の<友人>だった。

もっとも、決して表には出せない類の商売に関する友人ではあるが。

ミカが商人として優秀だったのは、単に商才があったからじゃない。口が上手かったからじゃない。なによりこの<友人>のような裏の商売人を味方に付けていたからだ。

相手の弱みを握り、時には『弱みを作って』意のままに操る。自分に有利な条件で商売を行う。

それができることで、普通の商人では集められないような情報も手に入れることができた。

この<友人>も、表の商売には有効なミカの知恵と、見た目に品があり貴族などにも受けのいい立ち振る舞いができる彼女を味方に付けておけば何かと便利だという打算から、ミカとつるむようになった。

そうして、ミカは、権力者側に入り込むことで治安機構を操り、<友人>の敵となる相手に揺さぶりを掛け隙を作ったところで<友人>がとどめを刺すという形で、互いに利用し合ってきたのだ。

これまで直接手を下したことはないものの、ミカの手もすでに決して綺麗ではなかった。身寄りも後ろ盾もない小娘がこの世界で生きていくためには必要なことだったとはいえ……

「活きがいいのを三百人ほど用意してほしい。女子供相手でも躊躇なくやれるのならばなお良し。期限は半年。できる?」

「三百くらいなら半年も要らないよ。一ヶ月もありゃ余裕。あんまり早く集めても暇を持て余しちゃうし飯やら女の世話やらで金がかかるしね。

でも、半年だね。分かった。用意できたらいつものように物乞いを王宮に寄こす。パン切れに金貨突っ込んで渡しな。それで契約成立だ。前金は二百。ことが終わってから残り二百。

フェアに行こうぜ」

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