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歴史上最も忌むべき悪女
少女のような
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リオポルドは、いわゆる<お人好し>だった。
悪意など欠片もなく、他人の<善意>を鵜呑みにする。だから王位の選定の際、元々順当に考えればリオポルドが王位に就くのは当然だったものの、ホエウベルン家が様々な工作によりそれを覆そうとしていたことを察したウルフェンスが、リオポルドに、
「あなたが王位に就かないのであれば、私がルブルース様を誅殺します。それによって私は死罪になるでしょうが、ルブルース様が王位に就くよりははるかにマシでしょう」
とまで言って迫り、自覚を促したという経緯がある。ミカを手駒に加えようとしたのもウルフェンスの考えだった。
ウルフェンスにとってリオポルドの父親である先王は、ルパードソン家がセヴェルハムト帝国に戻れるように働きかけてくれた恩人なのだが、そもそも先王がそれを働きかけてくれた理由が、
『リオポルドがウルフェンスにとても懐いていたから』
というのもあったのだ。もちろん、本当にただそれだけではなく、モーハンセウ家とルパードソン家とが非常に良好な関係だったことに加え、ルパードソン家が国を追われる事態になった際、助けることができなかったという負い目が根底にあり、その償いをというのが一番の理由だったようだ。
ちなみに、幼い頃のリオポルドはそれこそ少女のような優しい顔立ちをしていて、お人形遊びが大好きだった。
しかし王位継承者がそれではさすがに困るという周囲の思惑から『男らしく』あるようにという<矯正教育>の結果、気性が優しくお人好しではあるものの、少なくとも外見上はそれなりに威厳のある(?)振る舞いだけはできるようになっていた。
ただし、趣味の乗馬も、
『馬は綺麗な目をしていて可愛いから』
という、どこか少女的な発想から趣味にしているだけであり、実は本質的な部分は何も変わっていないとも言えただろう。
「リオポルド様、ただいま戻りました」
ミカと共に領内の視察を終えたウルフェンスが帰還を告げた時も、
「おかえ…いや、よく戻った。ご苦労であった」
などと、『おかえりなさい♡』と言いかけて慌てて王としての振る舞いに戻すことさえあった。
その時のリオポルドは、格好こそは男性のそれでありながら表情は完全に、
<仕事から帰った夫を迎える新妻>にしか見えないものだっただろう。
そんな様子を、ミカは少し離れたところから、ただ冷めた視線で見詰めていた。
彼女にとってリオポルドの存在は、国家権力を手に入れるためのただの<道具>に過ぎない。道具としての価値が保たれているのならばそれ以外は何をしていようとも誰と付き合おうとも興味もなかったのだった。
悪意など欠片もなく、他人の<善意>を鵜呑みにする。だから王位の選定の際、元々順当に考えればリオポルドが王位に就くのは当然だったものの、ホエウベルン家が様々な工作によりそれを覆そうとしていたことを察したウルフェンスが、リオポルドに、
「あなたが王位に就かないのであれば、私がルブルース様を誅殺します。それによって私は死罪になるでしょうが、ルブルース様が王位に就くよりははるかにマシでしょう」
とまで言って迫り、自覚を促したという経緯がある。ミカを手駒に加えようとしたのもウルフェンスの考えだった。
ウルフェンスにとってリオポルドの父親である先王は、ルパードソン家がセヴェルハムト帝国に戻れるように働きかけてくれた恩人なのだが、そもそも先王がそれを働きかけてくれた理由が、
『リオポルドがウルフェンスにとても懐いていたから』
というのもあったのだ。もちろん、本当にただそれだけではなく、モーハンセウ家とルパードソン家とが非常に良好な関係だったことに加え、ルパードソン家が国を追われる事態になった際、助けることができなかったという負い目が根底にあり、その償いをというのが一番の理由だったようだ。
ちなみに、幼い頃のリオポルドはそれこそ少女のような優しい顔立ちをしていて、お人形遊びが大好きだった。
しかし王位継承者がそれではさすがに困るという周囲の思惑から『男らしく』あるようにという<矯正教育>の結果、気性が優しくお人好しではあるものの、少なくとも外見上はそれなりに威厳のある(?)振る舞いだけはできるようになっていた。
ただし、趣味の乗馬も、
『馬は綺麗な目をしていて可愛いから』
という、どこか少女的な発想から趣味にしているだけであり、実は本質的な部分は何も変わっていないとも言えただろう。
「リオポルド様、ただいま戻りました」
ミカと共に領内の視察を終えたウルフェンスが帰還を告げた時も、
「おかえ…いや、よく戻った。ご苦労であった」
などと、『おかえりなさい♡』と言いかけて慌てて王としての振る舞いに戻すことさえあった。
その時のリオポルドは、格好こそは男性のそれでありながら表情は完全に、
<仕事から帰った夫を迎える新妻>にしか見えないものだっただろう。
そんな様子を、ミカは少し離れたところから、ただ冷めた視線で見詰めていた。
彼女にとってリオポルドの存在は、国家権力を手に入れるためのただの<道具>に過ぎない。道具としての価値が保たれているのならばそれ以外は何をしていようとも誰と付き合おうとも興味もなかったのだった。
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