未開の惑星に不時着したけど帰れそうにないので人外ハーレムを目指してみます（Ver.02）

第四世代

メイフェア編 受け止める側の感性の問題

ああそうだ。メイフェアは確かに『誉ほまれの死を悲しんで』いる。ロボットのことを、特に＜メイトギアいうロボット＞のことをよく知らない人間なら彼女に本当に感情や心があるようにも感じてしまうだろう。と言うか、人間にそう感じさせるために彼女には＜感情や心のようなもの＞が装備されたんだ。

考えてみたら＜心や感情＞なんてものは、生身の人間にとっては数値などの客観的な明確な具体的な形で認識できるものじゃないよな。なんとなくの感覚で、

『心や感情がある』

と認識してるだけだ。だとしたらメイフェアのそれも＜心や感情＞であると感じる者にとってはそうだと捉えてしまってもいいのかもしれないな。その心や感情が本物かどうかなんて、実は大した問題じゃないのかもって気がしてくるよ。心だと思えば心だし、感情だと思えば感情ってことでいいのかもと思えてきたりもする。

そもそも人間の心や感情だって、常に他人にとって分かりやすく確実で都合のいいものってわけでもないからなあ。

『なんでそんな風に感じるんだ！？』

みたいに思われることも珍しくないだろう？　だったらもう細かいことはいいじゃないか。

だがその一方で、メイフェアが淡々と誉ほまれを埋葬するための＜墓穴＞を掘っていることについては、なんとも言えない気分になってしまう者もいるだろうな。

俺もその一人だ。

でも、それはあくまで俺の＜感じ方＞の問題だ。決してメイフェアに問題があるわけじゃないし、ましてや彼女が悪いわけでもない。むしろしっかりと役目を果たそうとしてくれているわけだから、高く評価するべきもののはずなんだ。

そして要人警護仕様のメイトギアとしてのパフォーマンスを活かして三十分とかからずにしっかりとした墓穴を用意してくれた彼女は、碧あおや命みこと達が誉ほまれとの別れを惜しむのを静かに待ってくれた。

その姿についても、『冷淡だ』と感じるか『健気』と感じるかは受け止める側の感性の問題だろうさ。俺としては＜ロボットらしい冷淡さ＞だとも感じつつ今はもうそれに対して嫌悪感を抱く必要性も感じていない。

メイフェアはメイフェアなりに誉ほまれを悼み、碧あおや命みことのことも尊重してくれてるんだ。だから差し出がましいことをしない。出過ぎた真似もしない。ただただロボットである自身の立場をわきまえて一歩引いて邪魔をしないようにしてくれてるんだろうし。そう解釈して何も問題はないと思う。

そう考えるとな、不思議と痛ましい印象さえ湧いてくる。

それが必要なのかどうかはともかくとしてな。