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第四世代
メイフェア編 比較の話
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地球人社会にいた頃の俺も、人間(地球人)をとにかく蔑視していた。自分もその人間(地球人)の一人であることも嫌悪していた。だから、
『人間なんてさっさと滅びればいいのに』
とか本気で思っていた時期もあったな。今にしてみれば恥ずかしい限りではあるものの当時は本当に病んでいたんだよ。光莉の病気のこともあって。
何しろ彼女の<病気>は地球じゃない惑星由来のものだったからな。地球人がわざわざ他の惑星にまで出て行ったりしなきゃ彼女がそんな病気になることもなかったのは事実だろう。
とはいえ、それはあくまで単なる結果論であることは今なら分かる。それに地球の歴史において『違う土地に出向いて行ってそこで新しい病気をもらってくる』なんてのもありふれた話だったはずだ。
まあ、環境テロリストなんかはそういうのも自分達の活動の根拠にしてるらしいが。でもなあ、それで行うテロによって犠牲者が出てたりするんだから、詭弁どころの騒ぎじゃないだろうとしか思わない。
確かにこうやって竜生を解剖することでその体内に潜んでいた病原体を呼び覚ます結果になる可能性も否定はできないが、
<知らないことによるリスク>
を考えるとどっちが<正しい>とも断定はできないさ。ああでもこれも所詮は詭弁の類か。だから最終的にはどちらが正しいということじゃなくて、自分達の選択をいかに受け止めるかということに尽きるんだろうなと実感するよ。
とはいえ『何も備えをしない』というのはまた話が違うだろう。だから防疫措置を講じるわけで。それがどこまで効果を発揮するかは正直なところ未知数でも、『何もしない』よりはまだ納得が得られるかもしれないしな。
そういう覚悟の上で、竜生の解剖は行われている。ようやく鱗が除去された腹部にレックスがナイフを入れるが、勢いよく血が噴き出してくるようなことはなかった。このことからも完全に死んでいることが分かるか。生きて心臓が動いていて圧がかかっていれば当然のように血が噴き出すし。
さらには血液の粘度も高くなっていて、<生きた生物のそれ>じゃなくなっているそうだ。素人である俺の目にはよく分からないけどな。
その光景も、錬慈はシモーヌの膝の上で見ていた。
が、不意にそこから降りて今度は俺の膝に座ってくる。だから『実はそれなりにストレスを感じている』ことが分かる。怖かったりする時には俺の膝に座ってくるんだ。彼にとっては俺の膝の方が安心できるということらしい。
ただし念のために言っておくがこれは、
『錬慈は母親のことがあまり好きじゃない』
ということじゃないぞ。あくまでも比較の話だ。
『人間なんてさっさと滅びればいいのに』
とか本気で思っていた時期もあったな。今にしてみれば恥ずかしい限りではあるものの当時は本当に病んでいたんだよ。光莉の病気のこともあって。
何しろ彼女の<病気>は地球じゃない惑星由来のものだったからな。地球人がわざわざ他の惑星にまで出て行ったりしなきゃ彼女がそんな病気になることもなかったのは事実だろう。
とはいえ、それはあくまで単なる結果論であることは今なら分かる。それに地球の歴史において『違う土地に出向いて行ってそこで新しい病気をもらってくる』なんてのもありふれた話だったはずだ。
まあ、環境テロリストなんかはそういうのも自分達の活動の根拠にしてるらしいが。でもなあ、それで行うテロによって犠牲者が出てたりするんだから、詭弁どころの騒ぎじゃないだろうとしか思わない。
確かにこうやって竜生を解剖することでその体内に潜んでいた病原体を呼び覚ます結果になる可能性も否定はできないが、
<知らないことによるリスク>
を考えるとどっちが<正しい>とも断定はできないさ。ああでもこれも所詮は詭弁の類か。だから最終的にはどちらが正しいということじゃなくて、自分達の選択をいかに受け止めるかということに尽きるんだろうなと実感するよ。
とはいえ『何も備えをしない』というのはまた話が違うだろう。だから防疫措置を講じるわけで。それがどこまで効果を発揮するかは正直なところ未知数でも、『何もしない』よりはまだ納得が得られるかもしれないしな。
そういう覚悟の上で、竜生の解剖は行われている。ようやく鱗が除去された腹部にレックスがナイフを入れるが、勢いよく血が噴き出してくるようなことはなかった。このことからも完全に死んでいることが分かるか。生きて心臓が動いていて圧がかかっていれば当然のように血が噴き出すし。
さらには血液の粘度も高くなっていて、<生きた生物のそれ>じゃなくなっているそうだ。素人である俺の目にはよく分からないけどな。
その光景も、錬慈はシモーヌの膝の上で見ていた。
が、不意にそこから降りて今度は俺の膝に座ってくる。だから『実はそれなりにストレスを感じている』ことが分かる。怖かったりする時には俺の膝に座ってくるんだ。彼にとっては俺の膝の方が安心できるということらしい。
ただし念のために言っておくがこれは、
『錬慈は母親のことがあまり好きじゃない』
ということじゃないぞ。あくまでも比較の話だ。
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