未開の惑星に不時着したけど帰れそうにないので人外ハーレムを目指してみます(Ver.02)

京衛武百十

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第四世代

メイフェア編 引き継がれることになる可能性

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新暦〇〇四十年六月七日



竜生りゅうきは相変わらず、<普通の獣>のように日々を過ごしながら、ほぼ一直線でどこかを目指して移動を続けていた。

だが、ここまでくるとおおよその進路も見えてくる。

「やっぱり竜生りゅうきの進路上にコーネリアス号があるね」

タブレット越しにレックスがそう告げてくるくらいには。

「そうだな……」

このことは以前から可能性の一つとして挙げられていた。しかしアカトキツユ村の件でもそうだったように『たまたま』という場合もある。ゆえに過度に反応しないように心掛けていたんだが、取り敢えず進路上にコーネリアス号があることだけはほぼ確定したわけだ。

しかし、

「コーネリアス号の乗員の意識を持ってることを窺わせるような様子もないんだよな……」

俺の言葉にレックスも、

「そうだね。私の印象としてもその通りだ。<野生の獣>として見ればかなり高い知能と理性を備えているのは見て取れるものの、<地球人としての振る舞い>とは違うと感じるよ」

とのことだった。

ここは、

「私も同感かな」

「私も」

「僕も同意見だ」

シモーヌもビアンカも久利生くりうも賛同する。だが、

「私は必ずしもその可能性は否定できないと感じるかな」

シオだけはそう口にした。シモーヌとは違う認識を示したんだ。

シモーヌとシオはどちらも<秋嶋あきしまシモーヌのコピー>であって、本来はまったく同じ人格を有しているはずだった。しかしシモーヌの方がかなり早く顕現しここでの人生経験を積んでいる分、すでに<別の人格>を獲得しているのが分かる。

対してシオはまだ顕現してからの期間が短い分だけ<オリジナルの秋嶋あきしまシモーヌ>の人格の影響が強く残っているということか。

だがそれも<当然のこと>として俺達は認識できている。人間は、と言うか<生き物>は、経験を積み重ねることによって自身を確立させていく。だからいくら基はコピーであっても別の経験を積み重ねれば<事実上の別人>になることも確かなんだ。本来なら<コピー>なんてものができるはずがないから本人だけが経験を積み重ねていくだけであって、それにより<連続性>も担保され、<本人>であることは揺るがない。

一方でコピーの方は本来の生物の在り方とは異なる手段で形で『生まれる』ことでオリジナルとの連続性は失われてしまう。

もしここでオリジナルがすでに死亡していたりすればそちらが有していた<権利>等のすべてがコピーに引き継がれることになる可能性もあるものの、同時にそれは<オリジナルが負っていた責任>についても引き継ぐことになるがゆえに実際に認められた事例はほとんどないそうだ。

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