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第四世代

メイフェア編 頭が下がる思い

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俺がこれだけあれこれ考えてても<完璧>には程遠いと感じる。と言うか、きっと<完璧>だったらいちいちこんな風に考え続ける必要もないんだろう。考えなくても<最善の振る舞い>ができるんだろう。だったら当然、今の俺が完璧には程遠いというのも事実なんだと分かる。

だが、完璧じゃなくても、それには程遠くても、<やらなきゃいけないこと>というのは常にそこにあって、毎日毎日対処していかなきゃいけないんだよな。そして人間はそのことを常に自覚して意識して心掛けなきゃできない生き物でもある。

これもまた『生きる』ということそのものだろうさ。

対してロボットは、人間のようにいちいち考えなくても自覚しなくても意識して心掛けなくても<やるべきこと>をやれる。心も感情も持たないからこそそれに惑わされずにいられる。そして『生きていない』からこそ疲れも知らず、ゆえに<怠惰>に流されることもない。<自分の役目>にひたすら忠実でいられる。

まあだからこそ、ロボットに<命>や<心>を見出してしまう者は<ロボットの苦痛>を想像してしまって勝手に同情してしまうんだけどな。<心や感情の働き>によって。これが、

<心や感情を持たない者と持つ者の大きな違い>

なんだろうなと、メイフェアを見ているとしみじみ思う。<心や感情のようなもの>を持たされているはずの彼女だが、ここまでの時間、まったく揺らぐことなくほまれに尽くしてくれた。生身の人間にはなかなかできないことだ。極稀にできる者もいるにしても、決して大多数ではないし、たとえそれができる者であっても『相手による』というのは間違いなくあるだろうな。

<尽くし続けるに値する相手>

と感じればこそできるというのは確実にあると思う。

メイフェアの場合も『ほまれが相手だから』というのがまったくないわけでなくても、おそらくとどろきに対してもほまれに対してと同じように何十年でも尽くしてくれると簡単に想像できるし、むしろそうじゃないと考える方が無理があるというのが正直なところだ。

それが、

<メイフェアもちゃんとロボットなんだという実感>

だな。そして彼女は、そんな自分を『受け入れる』『受け入れない』じゃなく、そんなことは意識さえせず、ただただ必要なことを適切に行おうとするんだ。

三十年以上彼女を見てきてそれを実感するよ。

だからこそ俺はそんな彼女に頭が下がる思いだ。素直に労いたいと感じる。

まあ、メイフェアに対してだけじゃないけどな。セシリアに対してもそうだし、イレーネに対してもそうだ。

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