未開の惑星に不時着したけど帰れそうにないので人外ハーレムを目指してみます（Ver.02）

第四世代

メイフェア編 竜生の意識

竜生りゅうきは、最初に現れた時ほどは急いでいる様子もなかった。まあ、『急いでいた』ように見えたのはもしかしたら＜敵＞に囲まれていたからかもしれないが。敵を振り切るためにも急いでいたのかもしれないな。

これについても確証はないものの実際に今は急いでいるように見えないのも事実ではある。

＜普通の獣＞と同じように狩りをして餌を得て自らの命を繋ぎつつ、ほぼ一直線に何処かを目指して移動を続けていた。

『当てもなくただ彷徨っている』

だけならおそらくこんな一直線にはならないだろう。明らかに不自然だ。ただ、

「野生の生き物は、＜磁場＞などを基に方角を探知しているものが少なくない。地球人の場合は進化の過程でその能力を失ってしまったけれど、実は『鈍ってしまった』だけでそれを感知できる素養そのものは今も残っていると言われているね。他に方角を知る方法がいくつもあるから必要としていないだけで。

対して今の竜生りゅうきにはそれがない。となれば感覚が研ぎ澄まされるのは道理というものだろう。しかしだからこそ、　

『僕達コーネリアスのメンバーとしての意識は存在していない』

と言えるだろうね。それが存在しているならますらお達に接触を試みるだろうし」

ともレックスは語った。俺にもそれはなんとなく理解できる。地球人としての意識があるならロボットとコンタクトを取ろうとしないのはむしろおかしい。敵対行動を取られたのは事実でも、今の自分の姿を認識すれば、

＜ロボットに敵対行動を取られた理由＞

も察することができるだろうし、しかも今の自分であれば＜ロボットの攻撃＞はさほど脅威でもないと理解もできるだろう。だとすれば恐れる必要もそこまでないわけで。

加えて、＜ドローンによる監視＞を行っているから、ドローンについても何度も見掛けたはずなんだ。と言うか、明らかに気付いていて警戒している様子も何度も捉えられている。なのにコンタクトを取ってこない。そういう発想がないんだろうな。

＜人間（地球人）としての意識＞があればその選択を取るのは考えづらい。

「僕達のチームのメンバーで敢えてその選択を取る可能性があるのはルイーゼくらいのものかな」

「あ～、彼女なら有り得るね」

「確かに」

レックスとシオとシモーヌがそう口にしたのを、ビアンカと久利生くりうが苦笑いで応える。彼らの＜ルイーゼ像＞がしみじみと伝わってくるというものだな。

だが、

『竜生りゅうきにルイーゼの意識が宿っている』

という印象もまったくないそうだ。