未開の惑星に不時着したけど帰れそうにないので人外ハーレムを目指してみます(Ver.02)

京衛武百十

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第四世代

閑話休題 メイフェアXN12Aの願い その3

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ほまれ様を、最後までお守りします』

それがメイフェアの<願い>だった。メイトギアなら当然、主人に対して最後まで尽くすものだが、それはあくまで、

『命令が有効である範囲の最後まで』

という意味であり、命令が変更されれば何一つ未練を見せることもなく次の役目に移るだけだ。

ロボットというのはそういうものなのだ。

しかし、<感情や心のようなもの>を付与された彼女は、そこまで割り切ることができない。だからこそ、<グンタイ竜グンタイの女王>がシモーヌの姿を再現しているだけなのにも拘らず、<人間(地球人)>でないのにも拘らず、人間(地球人)である錬是れんぜに歯向かってでも<シモーヌの姿をしたグンタイ竜グンタイの女王>を守ろうとしてしまったのである。

感情や心というものは、そのようにして本来の優先順位を損ねる場合もあるのだ。

彼女達を使って行われた<実験>は、それを改めて確認するのが目的の一つであったとも言われている。

おそらく完全に一つの目的だけを掲げて行われる実験というものの方がむしろ少ないのかもしれない。様々なことを同時に検証するために行われるものなのだろう。ロボットに感情や心を装備するのを本気で願っている者もいれば、その考えに懐疑的であるからこそ敢えて実証するために参加した者も当然のようにいるわけで。

そして実際、

『ロボットに感情や心を装備するのは好ましくない』

という結論に至ればこそ、それは見送られたのだ。ただしその結論自体が恒久的なものであるかと言えばそれもまた違う。あくまで『その時点では』という話であって、

『今はまだ人間自身に<感情や心を持ったロボット>と穏当に関わっていく資質が備わっていない』

と判断されたからというのもあっての結論なのも事実なのだ。今後、人間(地球人)の側が、

『自分達以外の感情や心を持った存在と穏当に関わっていくことができる』

と判断されたなら、その時には改めて検討される可能性もあるだろう。それが果たしていつのことになるかは分からないが、少なくとも百年や二百年といった<近未来>ではないとも言われている。そんな短期間では人間(地球人)は変われないのは歴史を振り返るだけでも明白だった。

なにより、焦る必要はない。感情や心を持たないロボットは<苦痛>を感じないし、自身の境遇に<不満>も抱かない。かつて地球に存在した<奴隷>のように恨みを募らせることもないのだ。

淡々と、ただ淡々と、自分達の役目を果たすだけである。

その一方でメイフェアは自身の願いに従い、すっかり年老いたほまれを見守り続けるのだった。

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