未開の惑星に不時着したけど帰れそうにないので人外ハーレムを目指してみます(Ver.02)

京衛武百十

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第四世代

焔と彩編 俺とは別の命

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『親はいつか必ず子供の前からいなくなるもの』

まあこれについては、俺の場合必ずしもそうでもないけどな。実際、ひかりあかり錬慈れんじ以外はまず間違いなく子供達の方が先にいなくなるし、実際にいなくなってきてる。

とはいえそれはあくまで<例外的な特殊な事例>であって一般論にはなり得ない。一般的にはやっぱり親の方が先にいなくなるもんだ。

血は繋がってなくても、あらた達も同じなんだ。

そう考えることで、彼の最期についても徐々に腑に落ちてくるのを感じる。どんなに受け入れ難いものであっても現実はそこにあるわけで、それから目を逸らしていたらどこかにしわ寄せをしなくちゃならなくなる。歪みが生じていく。そしてその歪みは新たな問題を生じさせていく。

実際、地球人社会での深刻な問題の多くは、

『現実を現実として受け止めない』

ことが原因になってたように感じるよ。<現実には観測できない存在>をあてにしてそれに縋っていい思いをしようとした連中が、自分達の信じるものを信じない人間を敵視して迫害して憎悪の連鎖を作り出していたりもしたよな。

自分自身の精神を安定させるためだけなら別に何を信じようと何を頼ろうと何に縋ろうと好きにすればいいさ。それは個人の自由だと思う。

だが、自分が信じているものを信じないからといって誰かを攻撃するというのは筋が違う。そんなものは<現実を見てる者>のすることじゃないさ。

そんな歴史を知るがゆえに俺達はちゃんと現実に向き合いたい。

もっとも、それができるようになるためには、辛く苦しく悲しい現実とも向き合えるだけの精神的な余裕が必要なのも間違いないだろうな。

だからこそ普段からそれぞれの存在そのものを受け止めることを心掛けてきたんだ。自分が受け止められている、存在を認めてもらえている、生まれてきたことを祝福されている実感こそが精神的な余裕に繋がるのは分かっているわけで。

ひかりあかりが鷹揚でいられてるのも、自身の存在が祝福されている実感が幼い頃からあったからだろうな。

それは必ずしも『褒めてもらえた』とか『誕生日を祝ってもらえた』とか『お小遣いをもらえた』とかだからじゃない。そもそも貨幣経済が存在しないここじゃ<お小遣い>なんて、

『なにそれ?』

状態だし。即物的なそれも確かに必要なんだろうが、もっと本質的に俺が子供達の存在を受け入れてたからだと思う。何かを伝えようとしてた時にはしっかりと意識を向けて耳を傾けるようにしてたしな。

少なくとも、

『聞いているふりをして実際にはただ聞き流していた』

とかじゃない。

ちゃんと、

『子供達は俺とは別の命だ』

と認めていたんだよ。

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