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第四世代

焔と彩編 水を差すもの

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だが、不意にそんな<穏やかな日常>に水を差すものが。

<警報>だ。アカトキツユ村を守るために配置していたドローンの一機が、異変を捉えたんだ。それに伴って、俺が見ていたタブレットに赤い警報が表示される。

「アカトキツユに接近するものが脅威認定されました」

警報の内容についてエレクシアが解説してくれる。

「なんだと?」

警報そのものは別に珍しいものじゃない。マンティアンやボクサー竜ボクサー猪竜シシが接近してきただけでも警報が出るしな。

だがこの時はわざわざエレクシアがそんなことを告げてきたというのが問題だった。マンティアンやボクサー竜ボクサー猪竜シシが接近してきただけならその事実を淡々と告げるだけだ。こんな持って回った言い方はしない。

そして、

「例の不定形生物由来のものと思しき個体が、アカトキツユ村に接近しています」

と、詳細を告げてきた。

「……!」

「それって……!」

今度は俺だけじゃなく、シモーヌも強く緊張する。

実はこれまでにもちょくちょく<不定形生物由来の生物>については確認されていたが、そのどれもが特別危険なものじゃなかった。ドローンやホビットMk-Ⅱを見掛けても特別な反応を見せなかったし、何より<集落>に接近することがなかったんだよ。その場合は<ただの獣>にすぎないわけで。

しかし今回は、あらた達が暮らすアカトキツユ村に接近してるという。

「映像を見せてくれ」

「承知しました」

簡潔なやり取りの上でエレクシアが俺のタブレットに映してくれた映像には、薄汚れてはいるものの一目見てそうだと分かる<透明な猪竜シシ>の姿。なるほどあの不定形生物由来のそれであることは疑う余地もなさそうだ。しかも、

「でかすぎんだろ……」

俺は思わずそう呟いていた。そう呟かずにはいられないくらいに<巨大>だったんだ。

シルエットは確かに<猪竜シシ>なんだが、スケール感がバグっている。まるでミニチュアのセットの中に猪竜シシが迷い込んだかのような絵面だな。

たぶん、<サイゾウ>と変わらないほどの大きさだろうな。

確かに猪竜シシとサイゾウは、元を辿れば同一の種に行き当たるであろうことは、遺伝子解析で判明してる。しかしそれは、

『クジラとカバの祖先は同じ』

という話と似たようなもので、完全に別種と考えるべきだろうな。いくら姿形が似ていてもこいつは猪竜シシじゃない。 

猪竜シシに似た姿をした別の何か>

だ。

体高三メートル強。体長約六メートル。推定体重約三トンの怪物だ。
 
ただ、幸か不幸か、接近するドローンを見ても特に興奮した様子はなかった。

どうやらこいつも、

<人間に対して異常な攻撃性を見せる怪物>

というわけではなさそうだ。

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