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第四世代
焔と彩編 プロローグ
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新暦〇〇四十年二月十五日
凛が亡くなったことについては、新には伝えていない。伝えたところで彼にはどうすることもできないしな。
それに、今の彼にはレトとルナがいるし、三人仲良く暮らしているんだから、そこに水を差すような野暮な真似もどうかと思うというのもある。
『別れたからってかつて愛した相手を蔑ろにするようなのはおかしい』
なんてのも、地球人の勝手な感覚でしかないわけで。
レトとルナは、順当に互いをパートナーとして選び、番った。どちらももう立派な<成体のパパニアン>だ。何も不思議はない。
新もそんな二人を穏やかに見守ってくれてる。その姿は我が子の成長に満足している父親のそれにも見えた。
まあ実際にはパパニアンが地球人のようなメンタリティを見せるわけじゃないにせよ、新の場合は俺の子供だし、俺の下で育ったからな。何度も言うがその影響を受けてる可能性は高いさ。
それにしても、凛との間には子供を欲しがらなかった彼がこれというのも実に皮肉な話ではある。
あるが、もし新が子供を欲したとしてもおそらく凛とでは子供はできなかっただろうから、それはそれで残念な結果に終わった可能性も否定できないか。
事実、焔と彩は驚くくらいに仲睦まじかったというのに、ここまで一人も子供ができなかった。
そんな焔と彩は、もうすっかり<高齢者夫婦>そのものという印象だった。あれほど俺がいてもお構いなしに睦みあっていたというのに最近ではすっかりご無沙汰だ。さすがに年齢も年齢だしな。そこまでの元気も体力もないんだろう。
日がな一日、日当たりのいい場所で寄り添い合って、お互いの毛繕いをするのが日課になっていた。
それ自体が、
<本当に仲のいい老夫婦>
にしか見えないけどな。地球人でこの空気感を出せるのがどれだけいる? 長年連れ添った夫婦でも、ただ『仕方なく』だったり『単なる惰性で』だったりと、決して<良好な>とは言い難い関係の年老いた夫婦の方がずっと多いんじゃないか?
実は『寄り添い合ってる』じゃなく、ひたすら一方が忍耐を強いられているだけの関係だったりするんじゃないのか? だからこそ、
『夫に先立たれた妻は長生きする』
みたいなことが言われるほど、
<一人になれた解放感>
のようなものを感じてしまったりするんじゃないのか? 俺はそんな関係なんて羨ましくもなんともないね。
だが、焔と彩は違う。地球人社会では眉を顰められてしまうような関係だったかもしれないが、二人は確かに幸せだったんだろうさ。
凛が亡くなったことについては、新には伝えていない。伝えたところで彼にはどうすることもできないしな。
それに、今の彼にはレトとルナがいるし、三人仲良く暮らしているんだから、そこに水を差すような野暮な真似もどうかと思うというのもある。
『別れたからってかつて愛した相手を蔑ろにするようなのはおかしい』
なんてのも、地球人の勝手な感覚でしかないわけで。
レトとルナは、順当に互いをパートナーとして選び、番った。どちらももう立派な<成体のパパニアン>だ。何も不思議はない。
新もそんな二人を穏やかに見守ってくれてる。その姿は我が子の成長に満足している父親のそれにも見えた。
まあ実際にはパパニアンが地球人のようなメンタリティを見せるわけじゃないにせよ、新の場合は俺の子供だし、俺の下で育ったからな。何度も言うがその影響を受けてる可能性は高いさ。
それにしても、凛との間には子供を欲しがらなかった彼がこれというのも実に皮肉な話ではある。
あるが、もし新が子供を欲したとしてもおそらく凛とでは子供はできなかっただろうから、それはそれで残念な結果に終わった可能性も否定できないか。
事実、焔と彩は驚くくらいに仲睦まじかったというのに、ここまで一人も子供ができなかった。
そんな焔と彩は、もうすっかり<高齢者夫婦>そのものという印象だった。あれほど俺がいてもお構いなしに睦みあっていたというのに最近ではすっかりご無沙汰だ。さすがに年齢も年齢だしな。そこまでの元気も体力もないんだろう。
日がな一日、日当たりのいい場所で寄り添い合って、お互いの毛繕いをするのが日課になっていた。
それ自体が、
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みたいなことが言われるほど、
<一人になれた解放感>
のようなものを感じてしまったりするんじゃないのか? 俺はそんな関係なんて羨ましくもなんともないね。
だが、焔と彩は違う。地球人社会では眉を顰められてしまうような関係だったかもしれないが、二人は確かに幸せだったんだろうさ。
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