未開の惑星に不時着したけど帰れそうにないので人外ハーレムを目指してみます(Ver.02)

京衛武百十

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第四世代

閑話休題 アトロポス

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アトロポスは、ラケシスの<妹>である。そしてメイガスとあたるの<娘>だった。なので当然、クロコディアでもある。

すでに満二歳となり、見た目には五歳くらいの地球人と同じくらいの体格になっていた。しかし、<五歳くらいの地球人の子供>とは比較にならない迫力を、あどけなさの中にもすでに備えている。

地球人の感覚であれば『ふてぶてしい』とさえ思ってしまうような肝の据わった佇まいだ。

実際、すでに自分とほとんど変わらない大きさの獰猛な肉食魚さえ自らの力で捕らえて餌にすることすらできていたりもする。

実に逞しい。

もっともこれは、<クロコディアの幼体こども>としては特に珍しいものではない。むしろ<標準的>と言ってもいいだろう。

この時点で自力で生きていくこともできてこそとも言えるだろうか。

無論、<成体おとなのクロコディア>と真っ向勝負となれば相手にはならないにせよ、そこを上手く棲み分けられれば問題なく生きていけるのは確かである。

それでも、母親であるメイガスは、さすがに今の時点の娘を放り出す気にはなれなかった。息子であるラケシスについても同じく、もっと大きくなるまでしっかりと見守った。

ただし、『地球人とは違う』ことも十分に承知しており、必要以上に構うことも避けてはいる。

アトロポス自身が獲物に向かっていく時も、敢えて手は出さない。成功も失敗も我が子自身のものとして線を引いていた。

その上で、命の危険があるとなれば、力も貸す。ラケシスの時もそうしていたが、たまたま運悪く間に合わなかったことで重症を負わせてしまった。

それ自体は悔やみつつも、やはり過剰に干渉することは避けていた。過干渉が我が子のためにはならないとわきまえているからだ。

と同時に、万が一の時にはもちろん錬是れんぜらを頼ることも躊躇わないという点も、今も変わっていない。

なお、父親であるあたるもまた、アトロポスを見守っていた。クロコディアの雄は、普通はここまでしない。する個体もいないわけではないが、極めて例外的と言っていい事例だ。

それは、あたるの実の祖父であるちからの影響があるのだろうか。もしくは、彼の体が受け継いでいる<地球人の遺伝子>がそうさせるのか。

いずれにせよ、母親と父親の両方に見守られてアトロポスは健やかに育っていた。

まあ、地球人の目から見れば、

<恐ろしい人間型のクリーチャー>

としか思えないだろうが。

実際、自分とほとんど同じ大きさの肉食魚に喰らい付き振り回す姿は、なるほど<怪物>ではある。

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