2,341 / 2,645
第四世代
凛編 可能な限りの最大限の備え
しおりを挟む
で、麗はそうやって『行儀よく座ってる』ことができないのに、
『れんじ、こういうところではおぎょうぎよくするものだよ』
と言われて錬慈が反発しないか?というと、これが別に反発しないんだよな。
『麗は麗。自分は自分』
と考えることがもうすでにできてるみたいなんだよ。てか、やっぱり『反発する必要がない』のが一番大きいのか。
別に普段から頭ごなしに強要されたりしてるわけじゃないし。
なにより、それを言った萌花自身がお行儀よくチャイルドシートに座ってシートベルトも付けてるしな。
言った当人がちゃんとしてるかどうかってのは、与える影響が大きいだろう。
その点、萌花は立派だよ。立派なお手本になってくれてる。そして萌花のお手本になってくれたのが、和や陽だ。<自慢の孫達>だな。
そうして、特に混乱もなく準備が整い、それを確認したアリアンが、
「では、出発いたします。到着予定時刻は四十五分後。短い時間ではありますが、空の旅をお楽しみください」
と告げ、
「ウウォォ~ン」
と唸りを上げながらふわりと機体が浮き上がる。
「うひゃあ!」
「ひょ~っ!」
「ん……!」
「おお……!」
錬慈と萌花と和と陽がそれぞれ声を上げる。
『椅子に座っているのに体が浮き上がる』
という感覚に戸惑っているんだろう。和と陽は何度か俺の<ブランゲッタ装備のローバー>には乗ったことがあるから、ここまでじゃなくても近い感覚は経験があるはずだ。それでも、だな。
「……!」
順は声までは上げなかったもののやはり緊張した様子を見せ、
「! !?」
麗は陽にしがみついたまま軽くパニックを起こしたかのように周囲をせわしなく見回した。彼女も俺のローバーには乗ったこともあるとはいえここまでの感覚は初めてだったから、怖かったんだろうさ。
これも元々想定されていたことだ。もしここで彼女がもっと強いパニックを起こし事故になりそうな事態が生じれば、控えていたドーベルマンMPMやエレクシアが対処する。そのための備えだ。
ビジネスとして運用されている旅客機であればここまでのコストは掛けられない。無制限にあらゆる事態を想定して備えることはできない。そんなことをしていては<商売>として成立しない。だからある程度のところで区切りをつけるしかない。だとしても、現時点でのアリアンはそうじゃない。だからコストを考慮に入れなくて済む。
可能な限りの最大限の備えをすればいいだけだ。
商売でやってる旅客機でここまでのものを求めるならそれこそ完全貸し切りのチャーター機でも飛ばすしかないよな。
『れんじ、こういうところではおぎょうぎよくするものだよ』
と言われて錬慈が反発しないか?というと、これが別に反発しないんだよな。
『麗は麗。自分は自分』
と考えることがもうすでにできてるみたいなんだよ。てか、やっぱり『反発する必要がない』のが一番大きいのか。
別に普段から頭ごなしに強要されたりしてるわけじゃないし。
なにより、それを言った萌花自身がお行儀よくチャイルドシートに座ってシートベルトも付けてるしな。
言った当人がちゃんとしてるかどうかってのは、与える影響が大きいだろう。
その点、萌花は立派だよ。立派なお手本になってくれてる。そして萌花のお手本になってくれたのが、和や陽だ。<自慢の孫達>だな。
そうして、特に混乱もなく準備が整い、それを確認したアリアンが、
「では、出発いたします。到着予定時刻は四十五分後。短い時間ではありますが、空の旅をお楽しみください」
と告げ、
「ウウォォ~ン」
と唸りを上げながらふわりと機体が浮き上がる。
「うひゃあ!」
「ひょ~っ!」
「ん……!」
「おお……!」
錬慈と萌花と和と陽がそれぞれ声を上げる。
『椅子に座っているのに体が浮き上がる』
という感覚に戸惑っているんだろう。和と陽は何度か俺の<ブランゲッタ装備のローバー>には乗ったことがあるから、ここまでじゃなくても近い感覚は経験があるはずだ。それでも、だな。
「……!」
順は声までは上げなかったもののやはり緊張した様子を見せ、
「! !?」
麗は陽にしがみついたまま軽くパニックを起こしたかのように周囲をせわしなく見回した。彼女も俺のローバーには乗ったこともあるとはいえここまでの感覚は初めてだったから、怖かったんだろうさ。
これも元々想定されていたことだ。もしここで彼女がもっと強いパニックを起こし事故になりそうな事態が生じれば、控えていたドーベルマンMPMやエレクシアが対処する。そのための備えだ。
ビジネスとして運用されている旅客機であればここまでのコストは掛けられない。無制限にあらゆる事態を想定して備えることはできない。そんなことをしていては<商売>として成立しない。だからある程度のところで区切りをつけるしかない。だとしても、現時点でのアリアンはそうじゃない。だからコストを考慮に入れなくて済む。
可能な限りの最大限の備えをすればいいだけだ。
商売でやってる旅客機でここまでのものを求めるならそれこそ完全貸し切りのチャーター機でも飛ばすしかないよな。
0
お気に入りに追加
193
あなたにおすすめの小説


【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?

あなたがそう望んだから
まる
ファンタジー
「ちょっとアンタ!アンタよ!!アデライス・オールテア!」
思わず不快さに顔が歪みそうになり、慌てて扇で顔を隠す。
確か彼女は…最近編入してきたという男爵家の庶子の娘だったかしら。
喚き散らす娘が望んだのでその通りにしてあげましたわ。
○○○○○○○○○○
誤字脱字ご容赦下さい。もし電波な転生者に貴族の令嬢が絡まれたら。攻略対象と思われてる男性もガッチリ貴族思考だったらと考えて書いてみました。ゆっくりペースになりそうですがよろしければ是非。
閲覧、しおり、お気に入りの登録ありがとうございました(*´ω`*)
何となくねっとりじわじわな感じになっていたらいいのにと思ったのですがどうなんでしょうね?

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。


元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

学園長からのお話です
ラララキヲ
ファンタジー
学園長の声が学園に響く。
『昨日、平民の女生徒の食べていたお菓子を高位貴族の令息5人が取り囲んで奪うという事がありました』
昨日ピンク髪の女生徒からクッキーを貰った自覚のある王太子とその側近4人は項垂れながらその声を聴いていた。
学園長の話はまだまだ続く……
◇テンプレ乙女ゲームになりそうな登場人物(しかし出てこない)
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇なろうにも上げています。

冤罪だと誰も信じてくれず追い詰められた僕、濡れ衣が明るみになったけど今更仲直りなんてできない
一本橋
恋愛
女子の体操着を盗んだという身に覚えのない罪を着せられ、僕は皆の信頼を失った。
クラスメイトからは日常的に罵倒を浴びせられ、向けられるのは蔑みの目。
さらに、信じていた初恋だった女友達でさえ僕を見限った。
両親からは拒絶され、姉からもいないものと扱われる日々。
……だが、転機は訪れる。冤罪だった事が明かになったのだ。
それを機に、今まで僕を蔑ろに扱った人達から次々と謝罪の声が。
皆は僕と関係を戻したいみたいだけど、今更仲直りなんてできない。
※小説家になろう、カクヨムと同時に投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる