2,334 / 2,650
第四世代
凛編 ただの獣では成し得ないこと
しおりを挟む
そんなこんなで、<家族>で走の墓参りへと向かう。
ちなみに麗は陽と離れたがらないから一緒に行くことになったものの、鋭や玲やメイや水帆については、まったく感心も示さなかったから留守番だ。
留守の間は、セシリアとイレーネとドーベルマンDK-aらに管理を任せる。水帆についてはもちろんライラとオルトがいつも通りにちゃんとしてくれるしな。
形の上では<両親>のはずの俺とシモーヌが出掛けるというのに、水帆はそれこそ興味も示してくれない。
『近所のおじさんおばさんがどこかに出掛ける』
程度の認識なんだろうさ。
だがそれについても別に構わない。
『親に対して敬意を払え!』
だとか眠たいことを言うつもりもない。水帆を保護したのは俺達の勝手だ。彼女が助けを乞うたわけじゃない。
『彼女のように<先祖返り>を起こした存在を見捨てておけない』
という<自分の感情>に従っただけだ。それについて彼女が恩を感じなきゃならない義務はないんだよ。たとえ、
<そのおかげで命を拾ったという事実>
があったとしてもな。
だってそうだろう? 彼女のように先祖返りを起こして生まれたきた子供は他にもいるんだ。和もそうだし、玲もそうだ。けれど、助けられたのはそれだけだ。それだけなんだよ。
たまたま助けられただけでしかない。
しかも、<順>という実例が示すとおり、先祖返りを起こして生まれてきたとしても、
『絶対に生き延びられない』
というわけじゃないんだ。確率は限りなく低くても、<奇跡>に過ぎなくても、ゼロじゃない。俺達の助けがなくても生き延びられる例はある。
その現実を認めればこそ、俺は水帆に恩を売るつもりなんかないんだ。何より、彼女がああして元気に生きてくれていること自体が、
<最高の恩返し>
だしな。
俺の子供達もそうだ。自らの力で立派に生きてくれているという最高の恩返しをしてくれてる。
以前にも触れたように、野生においては、
『子供が親に恩を返す』
『子供が親を養う』
なんてのは、まず見られないことだ。そんなことをしていたら<種の存続>も危うくなる。
だが、人間は、<地球人という種>は、そのリスクがあっても、情を交わした相手を見捨てることができない。そういう<業>を背負った生き物なんだ。
だからこそ、互いに力を合わせることによって、
<ただの獣では成し得ないこと>
を実現し、今の繁栄を築き上げてきた。
そういう意味じゃ、確かに人間(地球人)は、
『他の動物とは違う』
のも事実なんだろうさ。
俺も、それを否定するつもりはない。
ちなみに麗は陽と離れたがらないから一緒に行くことになったものの、鋭や玲やメイや水帆については、まったく感心も示さなかったから留守番だ。
留守の間は、セシリアとイレーネとドーベルマンDK-aらに管理を任せる。水帆についてはもちろんライラとオルトがいつも通りにちゃんとしてくれるしな。
形の上では<両親>のはずの俺とシモーヌが出掛けるというのに、水帆はそれこそ興味も示してくれない。
『近所のおじさんおばさんがどこかに出掛ける』
程度の認識なんだろうさ。
だがそれについても別に構わない。
『親に対して敬意を払え!』
だとか眠たいことを言うつもりもない。水帆を保護したのは俺達の勝手だ。彼女が助けを乞うたわけじゃない。
『彼女のように<先祖返り>を起こした存在を見捨てておけない』
という<自分の感情>に従っただけだ。それについて彼女が恩を感じなきゃならない義務はないんだよ。たとえ、
<そのおかげで命を拾ったという事実>
があったとしてもな。
だってそうだろう? 彼女のように先祖返りを起こして生まれたきた子供は他にもいるんだ。和もそうだし、玲もそうだ。けれど、助けられたのはそれだけだ。それだけなんだよ。
たまたま助けられただけでしかない。
しかも、<順>という実例が示すとおり、先祖返りを起こして生まれてきたとしても、
『絶対に生き延びられない』
というわけじゃないんだ。確率は限りなく低くても、<奇跡>に過ぎなくても、ゼロじゃない。俺達の助けがなくても生き延びられる例はある。
その現実を認めればこそ、俺は水帆に恩を売るつもりなんかないんだ。何より、彼女がああして元気に生きてくれていること自体が、
<最高の恩返し>
だしな。
俺の子供達もそうだ。自らの力で立派に生きてくれているという最高の恩返しをしてくれてる。
以前にも触れたように、野生においては、
『子供が親に恩を返す』
『子供が親を養う』
なんてのは、まず見られないことだ。そんなことをしていたら<種の存続>も危うくなる。
だが、人間は、<地球人という種>は、そのリスクがあっても、情を交わした相手を見捨てることができない。そういう<業>を背負った生き物なんだ。
だからこそ、互いに力を合わせることによって、
<ただの獣では成し得ないこと>
を実現し、今の繁栄を築き上げてきた。
そういう意味じゃ、確かに人間(地球人)は、
『他の動物とは違う』
のも事実なんだろうさ。
俺も、それを否定するつもりはない。
0
お気に入りに追加
194
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

Sランクパーティを引退したおっさんは故郷でスローライフがしたい。~王都に残した仲間が事あるごとに呼び出してくる~
味のないお茶
ファンタジー
Sランクパーティのリーダーだったベルフォードは、冒険者歴二十年のベテランだった。
しかし、加齢による衰えを感じていた彼は後人に愛弟子のエリックを指名し一年間見守っていた。
彼のリーダー能力に安心したベルフォードは、冒険者家業の引退を決意する。
故郷に帰ってゆっくりと日々を過しながら、剣術道場を開いて結婚相手を探そう。
そう考えていたベルフォードだったが、周りは彼をほっておいてはくれなかった。
これはスローライフがしたい凄腕のおっさんと、彼を慕う人達が織り成す物語。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

貞操観念逆転世界におけるニートの日常
猫丸
恋愛
男女比1:100。
女性の価値が著しく低下した世界へやってきた【大鳥奏】という一人の少年。
夢のような世界で彼が望んだのは、ラブコメでも、ハーレムでもなく、男の希少性を利用した引き籠り生活だった。
ネトゲは楽しいし、一人は気楽だし、学校行かなくてもいいとか最高だし。
しかし、男女の比率が大きく偏った逆転世界は、そんな彼を放っておくはずもなく……
『カナデさんってもしかして男なんじゃ……?』
『ないでしょw』
『ないと思うけど……え、マジ?』
これは貞操観念逆転世界にやってきた大鳥奏という少年が世界との関わりを断ち自宅からほとんど出ない物語。
貞操観念逆転世界のハーレム主人公を拒んだ一人のネットゲーマーの引き籠り譚である。

冤罪だと誰も信じてくれず追い詰められた僕、濡れ衣が明るみになったけど今更仲直りなんてできない
一本橋
恋愛
女子の体操着を盗んだという身に覚えのない罪を着せられ、僕は皆の信頼を失った。
クラスメイトからは日常的に罵倒を浴びせられ、向けられるのは蔑みの目。
さらに、信じていた初恋だった女友達でさえ僕を見限った。
両親からは拒絶され、姉からもいないものと扱われる日々。
……だが、転機は訪れる。冤罪だった事が明かになったのだ。
それを機に、今まで僕を蔑ろに扱った人達から次々と謝罪の声が。
皆は僕と関係を戻したいみたいだけど、今更仲直りなんてできない。
※小説家になろう、カクヨムと同時に投稿しています。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる