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第四世代

凛編 侵害行為

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ああそうだ。コーネリアス号とその周辺については、

<人間(地球人)の領域>

なんだよ。しかも、すでに二千年以上その状態が続いてる。セシリアとコーネリアス号のAIがそれを確立してくれた。基本的には穏当に共存することを前提としつつもだが。

まあ、電力不足でセシリアもコーネリアス号のAIもスリープ状態に入ってからは割と好き勝手されてたようではありながら、それでもな。

だから、人間(地球人)である俺は、俺の都合を優先する。そうかいりんが俺の子供だからコーネリアス号の周りを<巣>として利用するのを許してきた。

とは言え、他の動物が住み着いても強引に排除するつもりはなかった。なかったが、俺の子供達の<住処>を余所者が奪い取ろうとするなら話は別だ。

そんな俺の意向を受けて、号機がほう達の前に出て、若い雄達の前に立ちはだかる。

「……!」

すると若い雄と彼らに同調していたレオン達もギョッとした様子で一瞬たじろいだ。

まあ無理もないか。元々ここにいて、あんりんほうろうゆうひょうも平然としてるから気にしないようにできてたんだろうが、こうして敵対するような振る舞いを見せられたら、そりゃおっかないだろう。彼らにしてみれば、

<得体の知れない何か>

なのは事実なんだからな。

<日常の中に紛れ込んだ異物>

なんだよ。号機をはじめとしたロボット達は。

だが、さすがにそれだけじゃ向こうも引き下がれないだろうさ。

「ガッ!!」

「ガウッ!」

ゆうを倒しボスとなる権利を得た若い雄二人が、自分達に立ちはだかろうとする号機に牙を剥き飛び掛かる。レオンとして当然の反応だ。

しかし、<彼我の戦力差>というものを見抜けていない時点でまだまだ未熟というものか。そしてこれは、<俺の親族>に対する侵害行為だから、俺としても看過できない。

で、<ボスの交代劇>については干渉しなかった号機が、今回は対処することになると。

そうして飛び掛かってきた若い雄二人を、それぞれ片方のマニピュレータであしらい、地面に転がせる。まるで<武術の達人>が見せるような動きだ。とは言え、これもれっきとした<科学>であり<物理>の話。単純に相手のバランスを崩させるのに最適な干渉を行っただけにすぎない。

<動く>というのはどうしたって、自ら意図して一時的にバランスを失わせた状態なんだ。動物の場合は特にな。むしろバランスを失わせることで『動いて』る。しかし同時に、動きとして成立する程度にはバランスを維持してるのもまた事実。

だったら、その最低限のバランスさえ崩してやれば破綻するわけだ。

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