2,304 / 2,566
第四世代
凛編 幕切れ
しおりを挟む
とにかく、<試合>と<生存競争>とは本質的に違うものだというだけでしかない。どっちが優れてるとか尊いとか、比べるようなことじゃないと俺は思ってる。思ってるが、こうして互いの存在を賭けて全力を尽くしている姿を見ると、胸が熱くなってくる気がするよ。
のしかかる形で若い雄を地面に叩きつけた侑だったものの、そのまま優位に立つことはできなかった。当然、もう一人の若い雄もまだまだ戦意を失ってないからだ。
事実、地面に倒れた侑に対して、覆いかぶさるように飛び掛かる。侑の下になった方の若い雄のことは考えてない動きだった。
そりゃそうか。あくまで一時的に共闘しているだけで、本来は共にボスの座を狙っているライバルだもんな。侑への攻撃のついでにダメージを与えられればそれこそ<一石二鳥>というものだろうさ。具体的に思考して狙っているのではないにせよ、それこそ本能的に好機と感じているのかもしれない。
だが、これに対しては侑の方がリスクを察知したか、素早く身を躱して、若い雄同士が折り重なる形になった。
と、結果としてのしかかられた方の雄が、
「ガーッッ!!」
キレたように牙を剥く。それに中てられたか、のしかかった方も、
「ガアアッッ!!」
やはり牙を剥いた。で、そのまま取っ組み合いになるかと思えば、互いに飛び退いて間合いを取る。
さすがに目先の感情に囚われて本来の目的を忘れたりはしなかったか。このまま潰し合ってくれれば漁夫の利的に侑の勝ちになるかもしれなかったのにな。
だが、それが<決め手>になってしまったようだ。若い雄達が<同士討ち>を回避して、しかし互いに限界まで昂った攻撃衝動をしっかりと侑に向けてきたことで、勝敗が決してしまったんだ。
もちろん侑もむざむざやられたりはしなかった。しなかったもののここまでですでにスタミナをかなり浪費していた彼は、動きに精彩を欠き、完全に防戦一方となった。
そして、若い雄の掌底をこめかみに受け、崩れ落ちるようにその場に昏倒してしまったんだ。
終わってみれば呆気ない幕切れではあったものの、決着がつく時というのはえてしてそんなもんだろう。
興奮してさらに攻撃を加えようとする若い雄に、今度は萌だけじゃなく朗も飛び掛かっていった。<父親>を庇おうとしたのかもしれない。
本当の野生の獣に比べれば人間(地球人)のメンタリティの影響が残っている可能性が高いレオンで、しかも普通とは違う群れを形成していたからこそだろうか。
のしかかる形で若い雄を地面に叩きつけた侑だったものの、そのまま優位に立つことはできなかった。当然、もう一人の若い雄もまだまだ戦意を失ってないからだ。
事実、地面に倒れた侑に対して、覆いかぶさるように飛び掛かる。侑の下になった方の若い雄のことは考えてない動きだった。
そりゃそうか。あくまで一時的に共闘しているだけで、本来は共にボスの座を狙っているライバルだもんな。侑への攻撃のついでにダメージを与えられればそれこそ<一石二鳥>というものだろうさ。具体的に思考して狙っているのではないにせよ、それこそ本能的に好機と感じているのかもしれない。
だが、これに対しては侑の方がリスクを察知したか、素早く身を躱して、若い雄同士が折り重なる形になった。
と、結果としてのしかかられた方の雄が、
「ガーッッ!!」
キレたように牙を剥く。それに中てられたか、のしかかった方も、
「ガアアッッ!!」
やはり牙を剥いた。で、そのまま取っ組み合いになるかと思えば、互いに飛び退いて間合いを取る。
さすがに目先の感情に囚われて本来の目的を忘れたりはしなかったか。このまま潰し合ってくれれば漁夫の利的に侑の勝ちになるかもしれなかったのにな。
だが、それが<決め手>になってしまったようだ。若い雄達が<同士討ち>を回避して、しかし互いに限界まで昂った攻撃衝動をしっかりと侑に向けてきたことで、勝敗が決してしまったんだ。
もちろん侑もむざむざやられたりはしなかった。しなかったもののここまでですでにスタミナをかなり浪費していた彼は、動きに精彩を欠き、完全に防戦一方となった。
そして、若い雄の掌底をこめかみに受け、崩れ落ちるようにその場に昏倒してしまったんだ。
終わってみれば呆気ない幕切れではあったものの、決着がつく時というのはえてしてそんなもんだろう。
興奮してさらに攻撃を加えようとする若い雄に、今度は萌だけじゃなく朗も飛び掛かっていった。<父親>を庇おうとしたのかもしれない。
本当の野生の獣に比べれば人間(地球人)のメンタリティの影響が残っている可能性が高いレオンで、しかも普通とは違う群れを形成していたからこそだろうか。
0
お気に入りに追加
176
あなたにおすすめの小説
美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!
仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。
しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。
そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。
一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった!
これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!
無限に進化を続けて最強に至る
お寿司食べたい
ファンタジー
突然、居眠り運転をしているトラックに轢かれて異世界に転生した春風 宝。そこで女神からもらった特典は「倒したモンスターの力を奪って無限に強くなる」だった。
※よくある転生ものです。良ければ読んでください。 不定期更新 初作 小説家になろうでも投稿してます。 文章力がないので悪しからず。優しくアドバイスしてください。
改稿したので、しばらくしたら消します
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~
ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。
食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。
最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。
それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。
※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。
カクヨムで先行投稿中!
お花畑な母親が正当な跡取りである兄を差し置いて俺を跡取りにしようとしている。誰か助けて……
karon
ファンタジー
我が家にはおまけがいる。それは俺の兄、しかし兄はすべてに置いて俺に勝っており、俺は凡人以下。兄を差し置いて俺が跡取りになったら俺は詰む。何とかこの状況から逃げ出したい。
冤罪だと誰も信じてくれず追い詰められた僕、濡れ衣が明るみになったけど今更仲直りなんてできない
一本橋
恋愛
女子の体操着を盗んだという身に覚えのない罪を着せられ、僕は皆の信頼を失った。
クラスメイトからは日常的に罵倒を浴びせられ、向けられるのは蔑みの目。
さらに、信じていた初恋だった女友達でさえ僕を見限った。
両親からは拒絶され、姉からもいないものと扱われる日々。
……だが、転機は訪れる。冤罪だった事が明かになったのだ。
それを機に、今まで僕を蔑ろに扱った人達から次々と謝罪の声が。
皆は僕と関係を戻したいみたいだけど、今更仲直りなんてできない。
※小説家になろう、カクヨムと同時に投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる