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第四世代

凛編 世界の成り立ち

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こうしてアンデルセンがまいの遺体を墓地に連れてくると、そこではすでに埋葬の準備が整っていた。彼女の遺体を収めるための墓穴が用意されていたんだ。彼女が亡くなったことが分かったのと同時に、ドーベルマンMPMらの手によって受け入れ準備が始められた。

アンデルセンの指揮の下で。と言うか、<アンデルセンの手足>としてだな。

かいに応対しつつ、同時にドーベルマンMPMを手足として使って、まいを弔う準備を進めてくれてたわけだ。

メイトギアほど目立たず人間の日常に溶け込めてるわけじゃないにせよ、大まかな機能の点ではもう十分に人間をサポートしてくれてるのが分かる。

こういうのは、決して大仰じゃなく、普段はそれこそ意識もされず気付かれもしないってのが求められるんだ。

普通の人間は、

『ライフラインがどう維持されているか?』

なんてことをそこまで気にするか? 考えるか? もちろん考える人間もいるだろうな。そういうのに関心や興味を持つ人間もいる、いるが、誰しもってわけじゃない。

しかし、ライフラインの構築と維持には、途轍もない労力と費用と時間が費やされているのは事実だ。普通に暮らしてる人間がいちいちそこまで気にしていたらそれこそ膨大な情報量に圧し潰されて精神を病んでしまう可能性すらあるくらいには。

だから、ライフラインの構築と維持に従事している人間でさえ、自分が携わっているそれとは別のライフラインについてはほとんど知らなかったりするだろうし。

そしてロボットも、今の人間社会においてはライフラインそのものだ。人間が人間として当たり前に暮らしていく中でどれほどロボットの力をあてにしているか、正確に把握してる者はほとんどいないだろうな。

俺だって知らない。知らなくても、人間は人間として生きていける。

<人間社会>というのはそういうものだ。そういう風に作られているし、望まれてるんだよ。

だから当然、ここにもそういう人間社会が作られていくことになる。

<世界の成り立ち>

というものを知っていて、それをわきまえて生きていられた方が、なるほど賢く生きられるかもしれない。しかしそれができる人間は極めて例外的な存在だろうな。

まあ、『ある程度』までなら考えてる人間もそれなりにいるにしても。でも、大多数ってわけじゃない。

人間と違って自力で野生の世界で生きていける獣であっても、おそらく自分の目の前にあることしか知らないだろうし、知らなくても実は生きていける。

そういうもんだ。

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