未開の惑星に不時着したけど帰れそうにないので人外ハーレムを目指してみます(Ver.02)

京衛武百十

文字の大きさ
上 下
2,256 / 2,645
第四世代

閑話休題 ルコアの日常 その6

しおりを挟む
『ちょっとでも早くルコアの顔見たかったから』

未来みらいにそう言われて、

「もう……」

軽く唇を尖らせながらもルコアはまんざらでもなさそうに微笑んだ。

確かにノックもなしにドアを開けられたのはいい気はしなかった。それこそ着替えている時にでも開けられたら、悲鳴の一つでも上げてしまうかもしれない。

ただ、相手はそれこそ赤ん坊の時からすぐ身近に接してきた弟のような存在。一緒にお風呂にだって入ったこともある。透明な体さえ隠さず見せてきた。だから今さら恥ずかしがる必要も、ないと言えばないだろう。

実際、多少の恥ずかしさはあるものの、まったく見ず知らずの赤の他人に見られることを想えばそこまでではないとルコア自身も思っている。

いるものの、同時に、自分以外の、それこそ<家族同然に育ってきたわけでもない他人>に対してもノックもなしにいきなりドアを開けるようなことをするようになっては困るので、敢えて、

『ドアを開ける時にはノックをするように促すために言っている』

というのもあった。

だから今ではルコアも、ドアを開ける時にはノックをするようにしている。たとえドアの向こうにいるのがビアンカや久利生くりうだと分かっていても。

自らそれを実践しつつ、言葉でも未来みらいに伝えるようにしているのだ。

とは言え、彼女もかつては<家族の気安さ>から、ノックもなしでドアを開けたりもしていた。それで何度か着替えている最中に開けてしまったこともある。

姉のような母親のようなビアンカに対してはともかく、義理の父親役だった久利生くりうの着替えを見てしまった時にはさすがに気まずい思いもした。

加えて、未来みらいがトイレに入っている時に開けてしまったことも。

これまた、彼が三歳くらいの時の話なので、当の未来みらい自身も気にしてはいなかったが、ルコアとしては、

『悪いことをした』

と感じて、それからは気を付けるようになった経緯がある。

だから、今すぐちゃんとノックするようになってもらおうとまでは思っていないものの、

<ドアを開ける時にはノックをするものだという認識>

を持ってもらうには必要なことだとも考えている。これを何度も積み重ねることでいずれはと考えているのだ。

これもいわば<躾の一環>かもしれないが、だからといって一朝一夕で身に付くものでもないと彼女もわきまえていた。わきまえているからこそ、強く叱責することまではしない。今はまだ<ドアを開ける時にはノックをするものだという認識を作る時期>だと考えているからだ。

しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます

まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。 貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。 そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。 ☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。 ☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

学園長からのお話です

ラララキヲ
ファンタジー
 学園長の声が学園に響く。 『昨日、平民の女生徒の食べていたお菓子を高位貴族の令息5人が取り囲んで奪うという事がありました』  昨日ピンク髪の女生徒からクッキーを貰った自覚のある王太子とその側近4人は項垂れながらその声を聴いていた。  学園長の話はまだまだ続く…… ◇テンプレ乙女ゲームになりそうな登場人物(しかし出てこない) ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇なろうにも上げています。

冤罪だと誰も信じてくれず追い詰められた僕、濡れ衣が明るみになったけど今更仲直りなんてできない

一本橋
恋愛
女子の体操着を盗んだという身に覚えのない罪を着せられ、僕は皆の信頼を失った。 クラスメイトからは日常的に罵倒を浴びせられ、向けられるのは蔑みの目。 さらに、信じていた初恋だった女友達でさえ僕を見限った。 両親からは拒絶され、姉からもいないものと扱われる日々。 ……だが、転機は訪れる。冤罪だった事が明かになったのだ。 それを機に、今まで僕を蔑ろに扱った人達から次々と謝罪の声が。 皆は僕と関係を戻したいみたいだけど、今更仲直りなんてできない。 ※小説家になろう、カクヨムと同時に投稿しています。

〈完結〉この女を家に入れたことが父にとっての致命傷でした。

江戸川ばた散歩
ファンタジー
「私」アリサは父の後妻の言葉により、家を追い出されることとなる。 だがそれは待ち望んでいた日がやってきたでもあった。横領の罪で連座蟄居されられていた祖父の復活する日だった。 十年前、八歳の時からアリサは父と後妻により使用人として扱われてきた。 ところが自分の代わりに可愛がられてきたはずの異母妹ミュゼットまでもが、義母によって使用人に落とされてしまった。義母は自分の周囲に年頃の女が居ること自体が気に食わなかったのだ。 元々それぞれ自体は仲が悪い訳ではなかった二人は、お互い使用人の立場で二年間共に過ごすが、ミュゼットへの義母の仕打ちの酷さに、アリサは彼女を乳母のもとへ逃がす。 そして更に二年、とうとうその日が来た…… 

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!

仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。 しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。 そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。 一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった! これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!

処理中です...