未開の惑星に不時着したけど帰れそうにないので人外ハーレムを目指してみます（Ver.02）

第四世代

閑話休題 ルコアの日常 その５

朝食を終えた頃、

「ルコア！」

彼女の名を口にしながらドアを開けた者がいた。一見すると高校生くらいの＜少年＞だった。

精悍な顔立ち。Tシャツの上からでも分かる引き締まった体つき。日に焼けた浅黒い肌。

いかにも＜運動系の部活をしている高校生＞といった感じだろうか。そんな少年に、

「おはよう、未来みらい。今日も元気だね」

ルコアは笑顔で返した。

少年の名は＜未来みらい＞。ルコアにとっては義理の父親にあたる＜久利生くりう遥偉とおい＞の実子だった。

なお、久利生くりう遥偉とおいは、ルコアにとっては姉のような母親のような（今は義理の母親ということになっているが）ビアンカのパートナーであるが、未来みらいはビアンカの実子ではなかった。あくまで久利生くりうのパートナーの一人である、＜クロコディアの來きたる＞との間にできた子である。

ここでは、地球人社会のような＜婚姻＞が成立しておらず、当人同士の合意さえあれば複数のパートナーを持つことが可能だった。

『当人同士の合意があれば』

だが。

久利生くりう遥偉とおいにはそれだけの魅力と能力があったということだ。

だからこそ、未来みらいの実母である來きたるが天寿を全うした後にはビアンカも彼を受け入れ、家族として暮らしていた。

なお、彼の実父である久利生くりうもルコアと同じく＜不定形生物由来の人間＞であり透明な体をもってはいるものの、彼女と違って完全に、

＜オリジナルの久利生くりう遥偉とおいをそのまま再現した人間＞

だった。そして実母の來きたるはクロコディアであり、実母の形質を受け就いだ未来みらいは、見た目こそ十代半ばの少年だが、実年齢は六歳になったばかりである。

そのため、見た目に対して振る舞いがややあどけない傾向はあった。

「でも、ドアを開ける前にノックしてっていつも言ってるでしょ」

ルコアに言われて、

「えへへ♡」

苦笑いを浮かべながら頭を掻く姿からは、年齢相応の幼さが見える。だがその上で、

「だって、ちょっとでも早くルコアの顔見たかったから」

と、真っ直ぐに彼女を見つめながら口にする表情からは、真摯な＜想い＞が滲み出てもいるようだった。

そう。彼はルコアに＜恋＞をしているのだ。実年齢は六歳でも、見た目にはもう大人の末席に加わっているようなものであり、加えて、

『クロコディアとしてであればすでに成体おとなと言っていい』

だけあって、実際に彼としては真剣にルコアを＜パートナー候補＞として見ていると言っていいだろう。

ただ、ルコアの方も悪からず思ってはいるものの、さすがに＜弟＞のようにして一緒に育ってきたのもあり、まだそこまでではないらしい。