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第四世代
閑話休題 ルコアの日常 その2
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そんなルコアの一日は、夜明けと共に始まる。
彼女が暮らすその世界は、<娯楽>というものが少なかった。正確に言えば、
『<コンテンツとして供されている娯楽>が少ない』
と表現するべきか。<映像コンテンツ>などは、<コーネリアス号>や<光莉号>と呼ばれる、今はその機能を失って飛び立つこともできなくなり、ある種の<建築物>としての意義を維持している<元宇宙船>のデータベースに残されていたりもするものの、ルコア自身はそういうものにあまり興味がなかった。
だから日が暮れると早々に寝てしまうので、夜明けと共に起きるのも、
『その頃には目が覚めてしまうから』
でしかない。意図して早寝早起きを心掛けているわけではなかった。単純に生活サイクルがそういう形で成立してしまっているだけだ。
そうして自宅のベッドで体を起こした彼女は、まず、顔を洗い歯を磨くことから始めるのが習慣になっていた。これはもう身に沁みついたルーチンであり、続けることに苦労はない。それをしないとむしろ『気持ち悪い』と感じてしまうくらいなのだ。
その時に鏡に映る彼女の姿は、染められた髪以外は完全に透明だった。だから動かなければまるで<クリスタルの彫像>のようでさえある。
なので、顔を洗い歯を磨くと、今度はファンデーションを顔から首筋、肩甲骨の辺りから腕まで塗って、透明ではなくする。それから睫毛に、いわゆる<マスカラ>と同じ要領で色を付けていく。<オリジナルのルコア・ドルセント>のそれに近い、光の具合によっては金色にも見えるブラウン系のものだった。髪色も同じである。
とは言え、気分によって微妙に色合いを変えたりすることもあるので、『今は』というのも事実だが。
こうして肌が出ることもある部分を地球人のそれに近付けた上で、服を着る。普段は基本的に裸に近い状態で寝ているのだ。
かつては『恥ずかしさ』もあって特別製のパジャマを着ていたりもしたものの、自分の体を完全に肯定できている今では、
『透明な体にパジャマを着ている』
状態の方に違和感を覚えてしまって、腹部を覆う肌着以外は何も身に着けないで寝るのが当たり前になってしまったそうだ。
彼女ももう十九歳間近。すっかり、
<自我を確立させた大人の女性>
である。
地球人社会だとまだまだ<子供>と認識されるのが当たり前の年齢ではあるにせよ、ここ朋群では、もう十分に大人の仲間であると言えた。
自らの境遇に怯えて不安を覚えていた<少女>はもういない。
まだまだあどけなさも残しつつも、彼女はすでに、
<一人前の人間>
なのだ。
彼女が暮らすその世界は、<娯楽>というものが少なかった。正確に言えば、
『<コンテンツとして供されている娯楽>が少ない』
と表現するべきか。<映像コンテンツ>などは、<コーネリアス号>や<光莉号>と呼ばれる、今はその機能を失って飛び立つこともできなくなり、ある種の<建築物>としての意義を維持している<元宇宙船>のデータベースに残されていたりもするものの、ルコア自身はそういうものにあまり興味がなかった。
だから日が暮れると早々に寝てしまうので、夜明けと共に起きるのも、
『その頃には目が覚めてしまうから』
でしかない。意図して早寝早起きを心掛けているわけではなかった。単純に生活サイクルがそういう形で成立してしまっているだけだ。
そうして自宅のベッドで体を起こした彼女は、まず、顔を洗い歯を磨くことから始めるのが習慣になっていた。これはもう身に沁みついたルーチンであり、続けることに苦労はない。それをしないとむしろ『気持ち悪い』と感じてしまうくらいなのだ。
その時に鏡に映る彼女の姿は、染められた髪以外は完全に透明だった。だから動かなければまるで<クリスタルの彫像>のようでさえある。
なので、顔を洗い歯を磨くと、今度はファンデーションを顔から首筋、肩甲骨の辺りから腕まで塗って、透明ではなくする。それから睫毛に、いわゆる<マスカラ>と同じ要領で色を付けていく。<オリジナルのルコア・ドルセント>のそれに近い、光の具合によっては金色にも見えるブラウン系のものだった。髪色も同じである。
とは言え、気分によって微妙に色合いを変えたりすることもあるので、『今は』というのも事実だが。
こうして肌が出ることもある部分を地球人のそれに近付けた上で、服を着る。普段は基本的に裸に近い状態で寝ているのだ。
かつては『恥ずかしさ』もあって特別製のパジャマを着ていたりもしたものの、自分の体を完全に肯定できている今では、
『透明な体にパジャマを着ている』
状態の方に違和感を覚えてしまって、腹部を覆う肌着以外は何も身に着けないで寝るのが当たり前になってしまったそうだ。
彼女ももう十九歳間近。すっかり、
<自我を確立させた大人の女性>
である。
地球人社会だとまだまだ<子供>と認識されるのが当たり前の年齢ではあるにせよ、ここ朋群では、もう十分に大人の仲間であると言えた。
自らの境遇に怯えて不安を覚えていた<少女>はもういない。
まだまだあどけなさも残しつつも、彼女はすでに、
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なのだ。
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