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第四世代

ホビットMk-Ⅱ編 自己責任論

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<自己責任論>ってヤツは本当に曲者だ。

何しろ、

『自分が選んだことの結果に対しては自分で責任を負うのが当然』

ということで、<共助>や<互助>を制限するための根拠にもできるし、

『自分のやったことに自分で責任を負う覚悟があれば何をやってもいい』

という解釈をする輩にとっても自己正当化のための詭弁として利用できてしまう。

要は、政府が行政コストを絞る根拠にしたり、『殺される覚悟があれば気に入らない相手を殺していい』などという極論を振りかざす奴の存在を許してしまう場合があるということだ。

しかも、行政コストを過剰に絞った<国>などにおいて、『行政をあてにできない層が犯罪に走る』なんてのが実際に起こってるわけで。

だから<自己責任論>自体が、それを他者に押し付けようとする人間の<甘え>だったりするわけだな。

何度も言うように、それはあくまで、苦しい思いをしている当人が自らを納得させるために使うものなんだろう。そうすることで、その恨みを他者に転嫁しないようにするという効果もあると思う。

むしろ、自己責任論を他者に押し付けようとする人間の方が、なにか自分に都合の悪いことがあればその責任を外に求めようとする傾向があるだろうさ。

ましてや、誰かがつらい状況に陥ってることを嘆いていると、

『自己責任だ』

と言って貶す輩なんてのは、

『相手に貶される原因があるから』

って感じで己の行いを正当化しようとするよな? それは典型的な<責任転嫁>以外の何ものでもない。<自身の行い>というのは、自らの責任において自らの判断と決断の上に生じるものだからな。

たとえ<原因>は外にあったとしても、それを実行することを決めたのは自分だ。その責任は自らにある。

<自己責任>ってのは、そもそもそういうものだよな?

自分にとって都合のいい時にだけ使えるものじゃない。そういう使い方をする時には単なる<詭弁>に成り下がる。

俺は、<自己責任>という考え方を、誰かを貶めたりするために利用したくないし、させたくもない。そのための手本を自らの振る舞いで手本として示していかなきゃいけないと思ってる。

これはビアンカや久利生くりうも同じだ。だからこそキャサリンは、自身の選択を誰かの所為にしたりもしない。今の生き方を誰かの所為にして決めたわけじゃないんだ。

彼女はあくまで、自らそれを選んだ。単なる<本能>などでは説明のつかないものとして。これが本当に本能由来なだけであれば、イザベラもケインも同じ選択をしてないとおかしいしな。

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