未開の惑星に不時着したけど帰れそうにないので人外ハーレムを目指してみます(Ver.02)

京衛武百十

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第四世代

ホビットMk-Ⅱ編 それぞれに非がある以上は

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ネットで<匿名>だと、

『相手がどこの誰かも分からないから何とでも言える』

というのは間違いなくあるよな。これがリアルで、

<頭が上がらない上司>

や、

<恩義を感じてる相手>

や、

<尊敬してる相手>

に同じようにできるか? 普通はできないんじゃないか? <普通>と言うか、多くの人間はできないと思う。

だったら、

『自分が罵ろうとしてる相手は、もしかしたら……』

と考えるようにした方がいいんじゃないか? そうすれば罵ったりできなくなるんじゃないか?

と、俺は思うし、そうしてきたんだよ。

だいたい、

<自分の家の境界線を侵されたからといって実力行使に及ぼうとしたホビットMk-Ⅱ>

も、

<花を育てることに腐心するあまり隣家との境界線を軽んじてしまったホビットMk-ⅡをかばおうとしたホビットMk-Ⅱ>

も、<おさ>を前にしたら、不満はもちろんありつつも委縮してしまっているしな。

えてしてそんなもんだろう。

ただその二体の反応も、<おさ>が敬われているからこそのものでもある。これが、

『どうせ、汚い方法でその地位に就いただけだろ』

みたいに思われている者だと、むしろ余計に反発を招いただけだろうな。しかも普段は顔見知りでさえない相手だとなおさら。

で、<おさ>はこのトラブルを収めるために、

<花を育てるホビットMk-Ⅱ>

に対しては、隣家との境界線を正しく守って花壇を作り直すことを命じ、

<境界線を侵されたからといって実力行使に及んでしまったホビットMk-Ⅱ>

に対しては、『だからといって自力救済が許されるわけじゃない』ことを説いて、

『今後は自分に相談するように』

と諭すことで折り合いを付けさせる形となった。

さらには、

<花を育てるホビットMk-Ⅱを庇おうとして暴力に及んだホビットMk-Ⅱ>

に対しても、

『安易に暴力に頼ることは好ましくない』

と諭した。

こうして、三体が三体とも、<完全勝利>とは言えない形で終息が図られたが、本来ならそういうものだろうさ。それぞれがそれぞれに<非>がある以上はな。

しかし同時に、

<隣人に家の土地を侵されるという被害>

については、こうなる前に対処するべきだったという<反省点>ももちろんある。そうすれば今回の事態は防げた可能性が高い。実際の人間社会でも、その辺りが確実に対処されていれば回避されただろうトラブルも少なくなかったはずだし。

<隣人トラブル>

みたいな個人間のいざこざに行政などが関与するのは簡単じゃないにしても、せめてちゃんと動こうとしてくれている実感があればここまでにはなってなかった可能性もあるだろうさ。

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