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第四世代

丈編 人間の心に配慮して

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確かに、AIやAIによって制御されているロボットも、

『不可解な負荷が生じる』

ことはあるそうだ。それを<心>だと定義する人間(地球人)もいるらしい。
だが残念ながらAIやロボットの場合、

『それに囚われる』

ということがない。少し条件を変えてやるだけで<負荷がかかってる状態>を簡単に解消することができるし、メンテナンスを受ければそれこそ、

『完全になかったことにできてしまう』

というのも現実だ。

だが、

<人間の心>

ってヤツはそうはいかない。現在の技術じゃなるほど意図的に一部の記憶を消去して忘れさせてしまうこともできなくはないらしいが、実はそれも、

『完全に狙いすまして特定の記憶だけを抹消する』

というところまではいっていないそうで、下手をすると関係ない記憶まで消えてしまう危険性があるのに加えて、

『本来消したかった記憶の方は消えなかった』

なんてことも有り得るから、安易に使えないらしい。本当にやむを得ない事例に限って、『本人の同意の上で』行うものなんだと。

もっとも、<同意したという記憶>そのものが消えてしまったりして後で揉めるという事例もあるんだとか。

おっかない話だ。

正直、俺としてはそんな技術は導入したくないなと思ったりもする。悪用だってできてしまうだろうしな。地球人社会じゃAIがその辺りを厳格に審査してくれるから悪用なんてことも容易じゃないとしても、そこが十分に整備されてない状態で実用化されたら、それこそ危ういだろうし。

まあなんにせよ、

『<人間の心>ってのはそんな簡単なものじゃない』

ってことだけは事実なんだろうさ。

AIやロボットの場合は特定のデータだけを消すことも難しくなくても、人間の場合はそうじゃないというだけでももう『ぜんぜん違う』ってのは証明できてしまうわけで。

ホビットサンク村のホビットMk-Ⅱ達の様子を見ていると、そこに<心>を見出してしまいそうになるのは事実であっても、

『心を見出してしまいそうになる』

ということ自体が、

<人間が持つ心というものの働き>

によるんだってのが事実なんだろうなあ。

対してエレクシアは、

「私達ロボットには、そのような事象は存在しません。メイフェアの事例についてもあくまで『人間の感情であればそのように捉えるだろう』というものを再現していただけですから」

と、平然と言ってのける。

実にロボットらしい。

一般的なロボットの場合は、その辺りを敢えて断定的に語ったりしなかったりもするらしいけどな。

人間の心に配慮して。

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