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第四世代

丈編 タイミング

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セシリアを含む<一般仕様のメイトギア>は、ただ人間にまぎれて人間のサポートを行うのが本来の役目だから、

『関節を固定し完全に動かないようにする』

必要が逆にない。メンテナンスなどの場合は基本的に寝かしておくしな。

対して戦闘力を備えた<要人警護仕様のメイトギア>の場合は、敢えて関節を完全に固定して『動かなくする』という使用法も想定されていたりする。

というのも、

『非常時に応急処置としてメイトギアを使って何かを固定しておく』

ことが意外とあったりするらしい。戦場などでは武器を固定したり、時にはメイトギアを<仮設の橋や梯子>にして人員の移動を行ったりということもあるそうだ。

とまあ、またも話が逸れてしまったが、話をホビットMk-Ⅱ達による狩りに戻すが、隠形により気配を絶ち、獲物が通りがかるのを待つ。

すると、猪竜シシの一種が現れた。

レックス達の解析により、素人の俺にはほとんど同じに見えていたのが実は数種の<猪竜シシ>がこの密林には生息してることが分かった。

今の時点ではまだ正式な名称は与えられていないものの、今回現れたのは、その中では最も小さい種らしい。時折現れる<やたらでかい奴>や<妙に小さい奴>は、実は別の種だったってことのようだ。単なる<個体差>じゃなかったと。

そこまですべての個体の遺伝子解析までは行ってなかったからデータが集まってなかったがゆえに<ただの個体差>と見做していたものも改めて見直しが行われてるんだよな。

で、

<今回現れた最も小さい種の猪竜シシ

に、狙いを定める。弓矢を構えたホビットMk-Ⅱがごくわずかに動いて矢を放つ準備を行った。

まだ、気付かれていない。だから十分に近付くのを待つ。人間の場合はついつい焦れてしまったりするところも、ロボットであるホビットMk-Ⅱは決して焦らない。

すると、チップ竜チップが弓矢を構えたホビットMk-Ⅱの体に飛び乗ってきた。

多くの動物達がまだ警戒するロボットを、チップ竜チップをはじめとした特に小型の動物達はもうあまり恐れない。少なくとも動いていない時にはもはや、木や石ころと変わらないように感じているのかもしれない。

そんな感じで自分の体の上をチップ竜チップや鳥が動き回ってもやはりホビットMk-Ⅱは意に介さない。そして、矢を放つための最高のタイミングを待つ。

と、

「チッ!」

小さく声を上げてチップ竜チップが逃げた。のとほぼ同時に、ホビットMk-Ⅱが矢を放つ。

タイミングは完璧だった。矢は確実に猪竜シシを捉えたのだった。

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