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第四世代

丈編 地球人以外の知的生命体

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で、話が出たからせっかくなので、

<地球人以外の知的生命体による文明が築いたと思しき遺跡>

についても改めて触れてみよう。

それは、俺が知ってる限りでは、

<ハイシャイン>

という、

<テラフォーミングの必要もなくすぐさま移住可能な特級物件>

の惑星での話だった。ハイシャインは、大気組成も地球のそれと比べて誤差の範囲内でしかなく、まるでコピーでもしたかのように地球そっくりの環境を持つ惑星だ。

そしてそこには、<地球人以外の知的生命体による文明が築いたと思しき遺跡>がいくつもあって、<テラフォーミングの必要もなくすぐさま移住可能な特級物件>であることとも合わせて発見された時にはそりゃもう大変な騒ぎだったとも聞く。

しかし、これまでにも何度か触れたように、ハイシャインには恐ろしい<風土病>のようなものがあって、

『人間をゾンビに変えてしまう』

という奇病だった。しかもそれは、感染率ほぼ百パーセントで致死率もほぼ百パーセントであり、発見から数十年が経ってさえ治療法どころか確実な予防法さえ発見されていないという途轍もないものだった。

だが、そのあまりの完璧さに、人為的なものが背景にあると考えられてもいたらしいな。つまり、

<人為的に作られたウイルス>

であると。だとすれば、それを作った存在がいたというわけで、ハイシャインに残された遺跡と共に、

<地球人以外の知的生命体>

の存在を明確に裏付ける証拠ともされているんだとか。

で、遺跡の調査と、その<風土病>の研究にも、AIとロボットが利用されている。

なにしろ人間がハイシャインの地上に降り立てば必ずと言っていいほどに感染して死亡してゾンビのようになって徘徊を始めるというんだから、生きた人間は近付くことさえできない。ウイルスの拡散を完璧に封じるには、

『ハイシャインからは小石一つ外には出さない』

という方法しかなく、遺体さえ回収できない以上は、人間が直接調査に赴くことはできないんだよな。

だから、一度ハイシャインに下ろせば永久に回収もできないものの、通信だけはできることから、AIとロボットを降下させて、遺跡と風土病の調査・研究を行っていると。

それにより、遺跡として遺された建造物から推定される文明では、人為的にウイルスを改造することは事実上不可能とされていたようだ。だから、もしウイルスが人工的に改造されたものであるとすれば、遺跡を築いた文明と、ウイルスを作り出した文明の、少なくとも二つが存在していたことになるわけだな。

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