未開の惑星に不時着したけど帰れそうにないので人外ハーレムを目指してみます（Ver.02）

第四世代

丈編 分かってるつもり

『分かりやすい部分だけじゃなく、被害が生じた際の被害者やその家族の心理的な負担についてもきちんとコストとして計上する』

＜アカトキツユ村＞は、そういう部分についても検証するためのシミュレーションとしての場という意味もある。

とにかく、今後、ここに人間社会を築いていく上で必要になるであろう諸々について今は徹底的にシミュレーションしなきゃと思ってるんだ。

「僕達もそれは理解できる」

「ですよね」

「私も同感だ。それを怠っていては、＜人間の集団＞を上手く制御することはできないからね」

「人間の＜心＞は複雑すぎて合理性さえ無視できてしまいますからね」

久利生くりうとビアンカとレックスとシオもそう言ってくれている。

俺にとってはとても頼もしい。

「そういうのはあなた達で勝手にやってくれたらいい……」

一方、ルイーゼはその調子だが、少なくとも反対はしてないから助かってるな。彼女にとっては鉱物の研究の邪魔さえされなければどうでもいいんだろう。＜人間＞の中にはそういうタイプも必ず出てくるから、そこを検証するにも実は役立ってる面もある。

もちろん、決して、

『これで万全』

というわけじゃない。人間という生き物がそんなに分かりやすく単純だったら、地球人の歴史はあんなに複雑怪奇なものになっていないだろう。

あくまで、

『分からないことが分かった』

って段階だ。そこから始めなければ、

『人間という生き物が分かったつもり』

でことを起こせば、状況が進めば進むほど実情との間の齟齬が大きくなってやがてどうにもならない状態になってしまう場合もある。

『基礎工事でミスがあったのを、小手先の帳尻合わせをしただけで工事を進めて結果的に重大な欠陥になってしまったりもする』

とでも言えばいいのか。

『出発地点で方向を間違っているから目的地に辿り着けない』

みたいな感じでもあるのか。

＜正しいかどうか分からないこと＞

については、その時点で逐一確認を取るのが大事だろう。『分かってるつもり』で仕事をする奴も困るだろう？　たまたま正解を引き当ててくれればまだしも、とんでもない事態に至ってから本当は分かってなかったのが判明するとか、考えるだけでゾッとするよな。

俺が会社勤めをしていた頃にもいたよ。そういう奴。分かってないのに分かってるふりをして仕事を進めてとんでもないことになってようやくそれが判明するってのがあったりもした。

いやはや、思い出すだけで頭が痛いってもんだ。

まったく。