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第四世代

丈編 絶対に正しい手法

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だから、<人間という生き物>の場合は、

『一方的に都合を押し付けて従わせる』

なんて手法は適切じゃないんだよ。野生の獣の場合はどこまでも<個>が持つ力の問題でしかないが、人間の場合は、

<個の力を途方もなく増大させる方法>

がいくつもあることで、問題が大きくなるんだ。

どうして俺程度の人間が気付くようなことすら無視するのがいるんだか。俺程度の人間が気付くんだから、<蔑ろにされて虐げられた人間>の中にも当然、

『武器を手にすれば、自分を蔑ろにし虐げてきた奴らに痛い目を見せてやれる!』

と、そりゃ気付くのもいるだろ。

そこで、

『多数決で決まったことだから!』

とか言って一方的に従わせようとしても、

『言葉だけじゃ無力』

なんだろ? 

<自分が蔑ろにされて虐げられている実感>

を緩和してやらない限りは何を言ったってそりゃ納得してくれないだろうさ。

と言うか、そもそも『蔑ろにして虐げて』ってのをしないようにするのが先決じゃないのか?

なにより、

『多くの民衆を一部の権力者が一方的に支配してきた』

なんて事実もある以上、実は<多数決>なんてのも『絶対じゃない』のは分かるってもんだろ?

まあ、『多くの民衆を一部の権力者が一方的に支配してきた』ことに対するカウンターとして、

『絶対的に数の上で有利な民衆の側が決定権を得る』

ために多数決を利用しようとしたんだろうけどな。が、今度は、

『多数決に頼りすぎて、それが万能なものだと過信しすぎた』

ってことになった感じか。『多くの民衆を一部の権力者が一方的に支配してきた』という現実があったのさえ忘れて。

だから多数決は決して、

<絶対に正しい手法>

ってわけじゃないんだよ。それが担保される背景があってこそ意味を成すんだ。

違うか?

『多数決で決まっただろ!』

と喚き散らす奴は、『かつて多くの民衆を一部の権力者が一方的に支配してきた』という現実も見てないだろう? なんの根拠もなくただ多数決の正当性を妄信してるだけだよな? 場合によっちゃいつそれがまたひっくり返されるか分かったもんじゃないのにな。

実際、植民惑星の中には、

<力で覇道を示す王>

なんてのが出てきて、

『圧倒的な暴力で多数を蹴散らして覇を為そうとしてかなりなところまで至れた』

というのもあったなあ。

たにかく、現実はそんなもんだ。

だから俺はそういう現実についても見て見ぬふりとかしないでおこうと思ってるんだよ。

そう言えば、ネットとかでよくある<炎上騒ぎ>についても、本当に騒いでるのはごく一部だけで、大多数は<サイレントマジョリティ>のはずだよな。

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