未開の惑星に不時着したけど帰れそうにないので人外ハーレムを目指してみます(Ver.02)

京衛武百十

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第四世代

丈編 線引き

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こうしてせいに襲われ彼の<糧>となった<まだ幼体こどもと言っていい若いパパニアン>について、俺は内心では悼みもしたものの、墓を作るなどの具体的な対処は何一つしなかった。それをしていたら、どこまでやればいいのか際限がなくなってしまうからというのが一番の理由だ。

だってそうだろう? 今回の若いパパニアンには墓を作るとしても、りくに襲われた<まだ幼体こどもと言っていい若い猪竜シシ>についてはどうすればいい?

『パパニアンは地球人の遺伝子も受け継いでるんだからそこで区別すればいいだろ』

とか言うのもいるかもしれないが、その線引き自体、それを言ってる奴のただの主観に基づいたものであり、<個人的な見解>でしかないからな。なにしろ人間以外の野生の生き物はそんなところにラインを引いたりもしないだろうし。

だから俺も、明確な<答>を出すことは諦めている。一応の<基準>は作りつつも、その上で、

『個別の事例についてはそれぞれで考えるしかない』

というのも実感なんだ。<臨機応変>ってヤツだな。

好きだろ? <臨機応変>。

まあそれを口にする望む奴の大体は、

『自分を甘やかしてほしい』

だけなんだろうけどな。ここにいる人間でそれを積極的に期待してるのは基本的にいないが、いずれはそういうのも出てくる可能性は否定できないし、ただの<身勝手>を<臨機応変>と言い換えるような奴への対処についても考えておかなきゃいけないだろうな。

いや、その辺については地球人社会ですでに相当検討されてきたことではあるが。

原則として元々ある<規定>に基づいて対処することを前提としながらも、その都度その都度、事情を詳細に検証して<特例措置>を適応するかどうかが決められるんだと。その際、『事情を詳細に検証する』のはAIの役目で、それによって導き出された様々な<案>をさらに人間が精査して決定するそうだ。ただし、人命に関わる事例で緊急を要する場合にはAIが提示した案をそのまま適応するケースもあるとか。

その上でそういうケースについては、後から改めて検証されると。

AIはどこまでも人命を最優先にするから、ほとんどの場合は、

『やむを得ない判断だった』

とされるらしいけどな。

大変な<経済的損失>が出る事例でも、ただの経済的損失ならそれを補填する方法はいくつもあるらしいし。

<取り返しのつく損失>

と、

<取り返しのつかない損失>

については、AIは判断を迷わないし。

いわゆる<トロッコ問題>も、AIの回答は、

『そのような事態に陥らないように事前に対処する』

だそうだ。

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