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第四世代

丈編 そこまででなくていい

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そうしてあの若いマンティアンに<位置確認のためのチップ>を取り付けるべく、三機のホビットMk-Ⅱが、河岸に築かれた仮の拠点から発進する。

取り付けるためのチップについてはドローンによって届けた。

集落内をあまり多くのロボットがうろうろするのはさすがに物々しくなって、うらられいやメイが警戒するかもしれないから避けてるんだ。

そこまでする必要もないしな。

なんてことはさておき、ホビットMk-Ⅱ達は密林をものともせず、颯爽というよりは、全体的にやや丸みを帯びた シルエットの所為もあってか、ややコミカルな印象のある様子で駆け抜けていく。

人間社会の日常の中で目にすることが多いと考えると、やっぱりあまりいかめしいよりはこういう愛嬌のある感じにするのはいいのかもしれないなと思う。

ドライツェンなんかはどうしても軍用ロボットという印象だからな。頼もしいのは間違いなく頼もしいんだが、若干、大仰な印象も否めないのは事実だ。

作った当時はエレクシア達の代わりになるようにという思惑もありつつだったからそうなってしまったものの、それ自体は別に間違っていたとは思わない。

状況が変化することで求められるものが変わっていくのは当然だし。

それに今でもドライツェン達はあれでいいと思ってる。きちんと役目に則した姿をしてるわけで。

ホビットMk-Ⅱはそこまででなくていいというだけの話だ。

一方、若いマンティアンは、そんなものが自分に迫っているとは知る由もなく、いつも通りに狩りを行っていた。

気配を断って茂みと一体化し、通りがかったボクサー竜ボクサーの群れに狙いをつける。

駿しゅんのそれとは別の群れだ。だから完全になりゆきを見守るだけにする。

駿しゅんの群れについても基本的に干渉はしないことにしてるんだが、どうしても気分の点では違ってしまうよな。明らかに身構えてないんだ。

そういう自分を自覚させられつつ、ボクサー竜ボクサーが一頭捕らえられるのも見届けた。

どこかホッとしている自分もいるのが分かってしまう。

ボクサー竜ボクサーよりも若いマンティアンの方に心情的に肩入れしてるんだろう。

だが、襲われたボクサー竜ボクサーの群れの方も、相手がマンティアンと悟ると、仲間を助けようとするわけでもなくそのまま逃げ去ってしまった。

非情ではあるが、自分達が生き延びるためには正しい選択でもある。

こうして捕らえた獲物を彼はその場で容赦なく貪り始める。

ビクンビクンと断末魔の痙攣もなかなかに力強くて、生きた獲物しか食べないマンティアンにとっては何よりだろうな。

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