未開の惑星に不時着したけど帰れそうにないので人外ハーレムを目指してみます（Ver.02）

第四世代

丈編 自然の真実の姿

ホビットMk-Ⅱに加えてボクサー竜ボクサーの群れまで現れたにも拘わらず、猪竜シシは『逃げる』という選択を行わなかった。

そもそもホビットMk-Ⅱにも勝てないのに、ホビットMk-Ⅱだけが相手なら、逃げればそれで終わった話だというのに、その猪竜シシは無謀にもさらに興奮して、

「ビキィィィッッ！！」

などと吠えながら体勢を立て直そうとした。

だが、ロボットであるホビットMk-Ⅱはそもそもとどめを刺す必要もないことで逃げられるが、ボクサー竜ボクサーはあくまで獲物として狙っているから、『見逃す』という選択肢がそもそもない。結果的に倒しきれずに逃げられることがあるだけだ。

そして駿しゅんは、ロボットを利用することを心得ている。敢えて逃げずにいれば守ってもらえるのを承知していて、労せず猪竜シシを弱らせることができるんだ。

未熟な若い仲間を積極的に参加させているのもそれが狙いだろうな。安全に確実に経験を積ませるという狙いもありそうだ。

こういうところからも、野生の生き物には＜プライド＞なんて概念がないというのが分かる。

楽して安全に獲物を得られるのなら何でも強かに利用するさ。むしろそれこそが本来の姿だ。

＜野生動物の感動的なドキュメンタリー＞

なんてのは、地球人が自分達にとって都合のいいように切り取った部分に、

＜地球人の感性で感動できるような演出＞

を加えたものに過ぎない。それをいかにも、

＜野生の真実の姿＞

的に喧伝してるだけだ。で、それを見て野生や自然のことを理解できた気になっているだけだな。しかも、ドキュメンタリーの作り手が独自の解釈に基づいて作ったものを、視聴者もまたそれぞれの解釈で視てると。

自分がいい気分になりたいということで。

はっきり言って話にならない。

駿しゅんはそれを俺に教えてくれる。＜卑怯＞だなんだと地球人が口にするのは、要するにそれだけ余裕があるからだ。そんな寝惚けたことを言っていられるだけの余裕があればこそ、余計なことを考えたりもできる。

野生においては、利用できるものは何でも利用するのが基本だし、駿しゅんにはそれができるだけの知能がある。しかも、自身の思い付きを実行するのに躊躇いはない。躊躇わなきゃいけない理由がない。

「ガアッッ！！」

彼女が一声上げると、仲間が一斉に猪竜シシに飛び掛る。しかしそのうちの一頭が弾き飛ばされた。そして地面に転がったそいつ目掛けて猪竜シシが突進。何頭ものボクサー竜ボクサーが体に食らいついてるにも拘わらずだ。

いくら自分よりずっと軽いとはいえ、三頭も四頭もとなればさすがに重くなってくるはずが、止まらない。

相変わらずとんでもない馬力だな。