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第四世代

丈編 淕

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新暦〇〇三八年六月四日



じょうには、<ゆう>というパートナーがいる。そしてそのゆうとの間に、<りく>という息子と<游煉ゆうれん>という娘がいる。

りくはすでに巣立って、めいが亡くなった後、その縄張りに収まる形で縄張りを得、立派にマンティアンとして暮らしていた。

対して游煉ゆうれんが生まれたのは二年半ほど前。これまたマンティアンとしてはごくごく普通の形で生まれたことで、特筆すべき点もなかったことで、敢えて触れてこなかった。

もちろん、曾孫が生まれたこと自体は嬉しかったが、もう正確な人数も把握できない状態じゃ、他になにか特別なことでもない限り、な。

その点、りくはまだ、体に霙を思わせる斑点模様が浮かび上がっている、特徴のある個体だし、めいの縄張りを受け継いでくれたことで、注視はしてる。

そんなりくは、じょうの息子だからか、体の使い方をじょうから学び取っているようだ。

基本的に雄は育児には関わらないことも多いマンティアンではあるものの、パルディアやアクシーズに比べるとまだ多少は関わる事例も散見されるようではあったりするし。めいのパートナーでせいの父親であるかくも、それなりに息子と関わってきていた。せいがピンチになったりした時には陰ながら見守っていたりしたしな。

りくじょうの場合はそこまでのことは確認できていないものの、一緒にいる姿は何度も確認されている。狩りを教えようとするかのような振る舞いも併せて確認できてもいるし。

ただ、それでもりく自身はやっぱり実年齢では八歳になったばかりなこともあって若いから、未熟な面も見られないわけじゃない。

狩りについては概ね問題ないものの、縄張りを奪いに来る他のマンティアンを相手にした時には、いささか心配になることもある。

だがそれについては、ドーベルマンDK-aの援護を得ることで対処はできてる。

実は先日も、縄張りを奪いに来たマンティアンと遭遇したりしたんだ。

当然、基本的には本人が自力で守るべきものだから、まずはりく自身に任せた。任せたんだが、相手は結構、強くてな。しかも気性もりくよりずっと苛烈なようだ。

本当に完全な野生の場合、最初の段階で勢いに乗れた方がそのまま勝つ場合が多いだろう。そもそも、人間のように<計略>や<技>といったものも自在に使えるわけじゃないわけで。そうなると、よっぽど自力に差がない限りは先手を取った方が有利になるのも当然か。

だから、マンティアンとしてはやや気性が穏やかと言っていいりくは、出だしで相手にペースを奪われてしまったんだ。

しかも相手も、後がない状態だったらしくてな。

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