2,053 / 2,381
第四世代
閑話休題 ドーベルマンDK-a拾弐号機
しおりを挟む
丈の背後にいた<何か>。
それは、明らかに<生き物>ではなかった。自然に出来上がったものではなかった。
<人工的に加工された部品を組み合わせて作られたもの>=<ロボット>
だった。
<ドーベルマンDK-a拾弐号機>
それがそのロボットの名称である。
ドーベルマンDK-a拾弐号機は、丈の縄張りに隣接し、彼の血縁上の父親である錬是が家族とともに暮らす集落を守るために周辺の哨戒を行い、異変があれば対処するのが役目のロボットだった。そして哨戒のために巡回するルートは、丈の縄張りも含んでいた。と言うか、丈の縄張りを守ることが結果として集落を守ることにもなるので、実質的には丈の縄張りを守ってもいる。
ただ、こうやって丈が他のマンティアンを追い払ってしまうので、実質的にはほとんど出番はないが。それでもたまに、彼の目が届かないところからマンティアンなどが侵入してくることもあり、そういう時には対応する。
もっとも、マンティアン自体が、あまりに強力すぎるがゆえに個体数も少なく、前回そうやって対処したのはもはや数ヶ月前であった。
その時にはまだ丈も<全盛期>であり、それこそ任せておければ手出しする必要もなかったが、離れたところにいたため、拾弐号機に出番が回ってきたわけだ。
「ギキッッ!?」
自身の前に現れた得体の知れない<何か>に、まだ巣立ったばかりと思しき若いマンティアンが戸惑う。
この密林においては生態ピラミッドの頂点であり、ほぼ敵なしと言っていいマンティアンでさえ、あまりに異質なそれに対しては強く警戒せずにはいられなかった。そもそも姿を見ただけで踵を返す者も少なくない。野生に生きる者は、たとえ猛獣であっても本質的には臆病であり、危険は避けようとする傾向が強い。なにしろ、地球人のように、
『相手に勝つ』
ことに価値を見出すのではなく、
『生き延びる』
ことが一番の目的だからだ。地上においては最強格の一角である<熊>でさえ、先に人間の気配を察すると逃げて行ってしまうのもそれだ。しかし時折、人間を恐れない個体がいたり、まったくの出会い頭で遭遇してしまったりした時には、やはり『生きるために』全力でもって襲い掛かってきたりもする。
この時のマンティアンの個体は、どちらかと言えば<無謀なタイプ>だったようだ。拾弐号機を警戒はしつつも、逃げるのではなく、攻撃を仕掛ける姿勢を見せた。
だが、それはあまりにも、
<身の程知らず>
というものだろう。
それは、明らかに<生き物>ではなかった。自然に出来上がったものではなかった。
<人工的に加工された部品を組み合わせて作られたもの>=<ロボット>
だった。
<ドーベルマンDK-a拾弐号機>
それがそのロボットの名称である。
ドーベルマンDK-a拾弐号機は、丈の縄張りに隣接し、彼の血縁上の父親である錬是が家族とともに暮らす集落を守るために周辺の哨戒を行い、異変があれば対処するのが役目のロボットだった。そして哨戒のために巡回するルートは、丈の縄張りも含んでいた。と言うか、丈の縄張りを守ることが結果として集落を守ることにもなるので、実質的には丈の縄張りを守ってもいる。
ただ、こうやって丈が他のマンティアンを追い払ってしまうので、実質的にはほとんど出番はないが。それでもたまに、彼の目が届かないところからマンティアンなどが侵入してくることもあり、そういう時には対応する。
もっとも、マンティアン自体が、あまりに強力すぎるがゆえに個体数も少なく、前回そうやって対処したのはもはや数ヶ月前であった。
その時にはまだ丈も<全盛期>であり、それこそ任せておければ手出しする必要もなかったが、離れたところにいたため、拾弐号機に出番が回ってきたわけだ。
「ギキッッ!?」
自身の前に現れた得体の知れない<何か>に、まだ巣立ったばかりと思しき若いマンティアンが戸惑う。
この密林においては生態ピラミッドの頂点であり、ほぼ敵なしと言っていいマンティアンでさえ、あまりに異質なそれに対しては強く警戒せずにはいられなかった。そもそも姿を見ただけで踵を返す者も少なくない。野生に生きる者は、たとえ猛獣であっても本質的には臆病であり、危険は避けようとする傾向が強い。なにしろ、地球人のように、
『相手に勝つ』
ことに価値を見出すのではなく、
『生き延びる』
ことが一番の目的だからだ。地上においては最強格の一角である<熊>でさえ、先に人間の気配を察すると逃げて行ってしまうのもそれだ。しかし時折、人間を恐れない個体がいたり、まったくの出会い頭で遭遇してしまったりした時には、やはり『生きるために』全力でもって襲い掛かってきたりもする。
この時のマンティアンの個体は、どちらかと言えば<無謀なタイプ>だったようだ。拾弐号機を警戒はしつつも、逃げるのではなく、攻撃を仕掛ける姿勢を見せた。
だが、それはあまりにも、
<身の程知らず>
というものだろう。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
162
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる