未開の惑星に不時着したけど帰れそうにないので人外ハーレムを目指してみます(Ver.02)

京衛武百十

文字の大きさ
上 下
2,039 / 2,644
第四世代

深編 門前の小僧習わぬ経を読む

しおりを挟む
新暦〇〇三八年五月三日



そうだ。

『習ってもいないことができるようになる』

なんてのは、所詮はファンタジーだと思う。

『門前の小僧習わぬ経を読む』

という言葉があったりもするが、それはあくまで、

『直接は習ってなくても、何度も何度も耳にしているうちに覚えてしまうこともある』

というだけの話でしかないはずだ。つまり、

<学び取れる環境>

はあったということだ。これは、人間の子供が言葉を覚えるのと似ている気がするな。

別に改まって習わなくても、周りの人間が話している言葉を耳にできる環境があったればこそのものという意味で。

言葉でも、周りに一切、言葉を話す者がいない環境で育ったら、人間の子供は言葉を話せるようになるか? 一度や二度ばかり話し掛けられたりしただけで話せるようになるか? そんなことが現実にあると思うか? だから、できるようになってもらいたいなら、きっちりと教えていかなきゃいけないんだ。少なくとも<学び取れる環境>は用意する必要があるはずだと思わないか?

なるほど、

<当人が自主的に学び取れる状況>

をきちんと用意できていれば、

『直接教えたのは一だけだったものの、結果として十を学び取ることができた』

というのは確かに有り得るかもしれない。

しかしそれとて、

『当人が自主的に学び取れる状況が用意されている』

のが大前提だよな? それを用意することが必要だよな? ちゃんとその手間を掛けてあったわけだよな? その手間を掛けてあったからこその結果だよな?

それさえなしで、

『一を教えたんだから十を理解しろ』

なんてのは、いくらなんでも見通しが甘すぎるだろ。

企業経営がそんな甘い見通しで成り立つとか本気で思っているのか? そんな甘い見通しの奴が管理職をしていて、本当に大丈夫なのか?

それでもまあ、理解しない奴も確かにいるだろう。しかし、そういう奴を使える労働者にするためにパワハラを励行して、そんなことをしなくても真面目に働いてくれる奴のモチベーションを下げるとか、何をしたいんだ? って話だろ。

やっぱり俺には理解できない。

とどろきは、我が強く自身の力に頼りがちな、いかにも他者を力で抑え付けようとするタイプだったが、その<力>が通用しないほまれを前にして、彼のやり方をずっと傍で見てきて、学んできたんだろうな。ほまれに比べれば間違いなく力に頼るタイプのボスではありつつ、だからといって暴君のようになってしまってるわけでもない。

だからこそ、ほまれの代わりにボスとしての役目を果たせてきたし、こうして実際にボスの座を譲られたんだ。

しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

なんでも奪っていく妹とテセウスの船

七辻ゆゆ
ファンタジー
レミアお姉さまがいなくなった。 全部私が奪ったから。お姉さまのものはぜんぶ、ぜんぶ、もう私のもの。

側妃契約は満了しました。

夢草 蝶
恋愛
 婚約者である王太子から、別の女性を正妃にするから、側妃となって自分達の仕事をしろ。  そのような申し出を受け入れてから、五年の時が経ちました。

前世で八十年。今世で二十年。合わせて百年分の人生経験を基に二週目の人生を頑張ります

京衛武百十
ファンタジー
俺の名前は阿久津安斗仁王(あくつあんとにお)。いわゆるキラキラした名前のおかげで散々苦労もしたが、それでも人並みに幸せな家庭を築こうと仕事に精を出して精を出して精を出して頑張ってまあそんなに経済的に困るようなことはなかったはずだった。なのに、女房も娘も俺のことなんかちっとも敬ってくれなくて、俺が出張中に娘は結婚式を上げるわ、定年を迎えたら離婚を切り出されれるわで、一人寂しく老後を過ごし、2086年4月、俺は施設で職員だけに看取られながら人生を終えた。本当に空しい人生だった。 なのに俺は、気付いたら五歳の子供になっていた。いや、正確に言うと、五歳の時に危うく死に掛けて、その弾みで思い出したんだ。<前世の記憶>ってやつを。 今世の名前も<アントニオ>だったものの、幸い、そこは中世ヨーロッパ風の世界だったこともあって、アントニオという名もそんなに突拍子もないものじゃなかったことで、俺は今度こそ<普通の幸せ>を掴もうと心に決めたんだ。 しかし、二週目の人生も取り敢えず平穏無事に二十歳になるまで過ごせたものの、何の因果か俺の暮らしていた村が戦争に巻き込まれて家族とは離れ離れ。俺は難民として流浪の身に。しかも、俺と同じ難民として戦火を逃れてきた八歳の女の子<リーネ>と行動を共にすることに。 今世では結婚はまだだったものの、一応、前世では結婚もして子供もいたから何とかなるかと思ったら、俺は育児を女房に任せっきりでほとんど何も知らなかったことに愕然とする。 とは言え、前世で八十年。今世で二十年。合わせて百年分の人生経験を基に、何とかしようと思ったのだった。

余命1年の侯爵夫人

悠木矢彩
恋愛
余命を宣告されたその日に、主人に離婚を言い渡されました

大好きなおねえさまが死んだ

Ruhuna
ファンタジー
大好きなエステルおねえさまが死んでしまった まだ18歳という若さで

家出したとある辺境夫人の話

あゆみノワ@書籍『完全別居の契約婚〜』
恋愛
『突然ではございますが、私はあなたと離縁し、このお屋敷を去ることにいたしました』 これは、一通の置き手紙からはじまった一組の心通わぬ夫婦のお語。 ※ちゃんとハッピーエンドです。ただし、主人公にとっては。 ※他サイトでも掲載します。

(完結)私より妹を優先する夫

青空一夏
恋愛
私はキャロル・トゥー。トゥー伯爵との間に3歳の娘がいる。私達は愛し合っていたし、子煩悩の夫とはずっと幸せが続く、そう思っていた。 ところが、夫の妹が離婚して同じく3歳の息子を連れて出戻ってきてから夫は変わってしまった。 ショートショートですが、途中タグの追加や変更がある場合があります。

てめぇの所為だよ

章槻雅希
ファンタジー
王太子ウルリコは政略によって結ばれた婚約が気に食わなかった。それを隠そうともせずに臨んだ婚約者エウフェミアとの茶会で彼は自分ばかりが貧乏くじを引いたと彼女を責める。しかし、見事に返り討ちに遭うのだった。 『小説家になろう』様・『アルファポリス』様の重複投稿、自サイトにも掲載。

処理中です...