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第四世代

深編 価値観を基にした見方

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新暦〇〇三八年四月五日



ボスとしての役目を勤勉に果たしてきたように見えるほまれに対してしんはそれこそ毎日毎日ぐうたらしきてただけのように、地球人の目には映るだろう。

だがな、それは所詮、

<地球人という生き物の価値観を基にした見方>

でしかないんだよ。

<価値観の押し付け>

ってもんでしかないんだ。しかも地球人は価値観を押し付けられるのを嫌う傾向にあるだろう? それなのに、自分は他の誰かに対して価値観を一方的に押し付けようとするんだ。

まったくもって酷い矛盾だ。平和を説きながら、そのためには暴力も振るっていいと考えてる奴と同じだな。

俺はそう思えばこそ、しんが怠惰なように見える毎日を過ごしてることについて口出しするつもりもない。なにしろ、それがレオンやパルディアの普段の姿だからな。そうかいにしたって、狩りや外敵への対応をしてる時以外は、ぐうたらしてるようにしか見えなかったりもするし。

そういうもんなんだよ。

だから今日もしんがぐうたらしてるように見えても、その横で俺が錬慈れんじの世話をしてても、『不公平だ』とは思わない。

『違っていること自体が当たり前』

だからな。

これこそが<多様性>ってもんだろう?

『多様性を認める』ってもんだろう?

『違ってる』ってこと自体がもうすでに大前提なんだよ。生き物ってのは。違ってるからこそ様々な状況や環境の変化にも対応できるんだしな。

『多様性を認めない』ってこと自体がそもそも成立しないんだ。

大体、

『多様性を認めたくないという多様性を認めろ!』

なんて御託も、多様性を認めることで初めて成立する詭弁でしかないしな。

だが同時に、

『自分の特徴や個性や事情のすべてを一方的に配慮してもらうことはできない』

ってのも事実だ。しんについては特に問題もないから大丈夫だったが、もし彼女がレオンとしての凶暴性を仲間に向けようとするなら、それについてはこちらとしても対処させてもらう。

『それがレオンとしての本能だから』

といってまるっきり全部を受け入れてしまうこともできない。

これまた事実ではある。

だから、

『多様性を認める』=『自分の都合のすべてを受け入れてもらう』

というわけじゃないこともまた、わきまえないといけないさ。

そんなことはそもそも無理なんだし。

ほむらさいの関係についても、俺はそれを否定するつもりはない。その一方で、他の誰かに対して二人と同じようになるのを強要するつもりもない。それとこれとは話が別だ。

地球人社会では性自認についてのあれこれが長く問題になってたが、多様性を認める認めないの話の典型例の一つだったよな。

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