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第四世代

深編 自分達と同じ言葉を話す者

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ほまれの群れでは、メイフェアの活躍もあり、<犠牲者>が他の群れに比べて圧倒的に少なくて済んだ。

だから子供の数がとにかく多い。実はメイフェアが子供達の面倒を見てるのはその所為もある。親だけでは構い切れないんだよ。

『子供の死亡率が下がることで人口が急激に増える』

地球における<人口爆発>の原因の一つともなったそれが、ここでも見られた形なわけだ。

ただ、野生に生きるパパニアンの場合だと、その辺りについても敏感なのか、今度は出生率が下がってきてるんだよな。もしかするとボスであるほまれが控えてるから、群れの仲間としてもボスを差し置いてバンバン子作りに励むことが憚られているという可能性もあるのかもしれないが。

それがいずれにせよ、『他の群れに比べて子供の数が異様に多い』という事実もありつつ、これ以上に急激な増加を見せる傾向も薄れてきてるのは確かにあった。

地球人というのはそういう辺りも壊れてたのかもしれないなあ。

というのも俺としては実感しつつ、しんにとってはまったく関係のない話なので、取り敢えず横に置くとしよう。

で、パパニアンにとっては天敵であるがゆえにあまり群れに近付けないしんの代わりにメイフェアがほまれに、

ほまれ様。しん様がお会いになられたいそうです』

と伝えてくれると、ほまれも、

「分かった。会おう」

そう応えてくれた。無論、地球人の言葉で応えたわけじゃなく、<パパニアンの言葉>でだけどな。

パパニアンは、他の獣人達と比べても社会性が高いのもあってか、かなり<言語>として成立しているものがあり、ゆえにメイトギアの機能をもってすればパパニアンの言語を解析し判読し使うこともできるんだ。

メイフェアがほまれの群れに仲間として受け入れられている理由はそこにもあるだろうな。

<自分達と同じ言葉を話す者>

として認められているんだよ。

それはとても重要な要素だと思う。コミュニケーションが容易というのは<親近感>という面ではかなりのアドバンテージになるしな。

なにしろ地球人社会でも、

<同じ言葉を話しているはずなのに、話が通じない相手>

というのがいただろう? それは、

『同じ言葉を話していてもコミュニケーションとしては成立していない』

ってことだな。

そうなるともう、親近感などまず成立しないだろ。

まあ、相手のキャラクター次第では、

<面白い奴>

と思ってもらえたりすることもあっても、たいていは、

『何だこいつ?』

と思われるのが関の山だろうし、そういう話も無数にあったはずだ。

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