未開の惑星に不時着したけど帰れそうにないので人外ハーレムを目指してみます（Ver.02）

第四世代

深編 嬉しそうな笑顔

『誉ほまれ様と会うのが望みですか？』

メイフェアはそう言ってくれたものの、だからといって人間のように気軽に会いに行くことはできない。なにしろ、誉ほまれにとって深しんは実の妹であっても、誉ほまれ以外のパパニアンにとってはどこまで行っても、

＜恐ろしい天敵＞

でしかないからな。

それでも、

「誉ほまれ様にお伝えします」

改めてメイフェアが告げると、

「……」

メイフェアのカメラに捉えられた深しんの表情が明らかに柔らかくなるのが分かった。彼女のことをよく知らない人間には分からなくても、彼女をずっと見てきた父親である俺には分かってしまう、

＜嬉しそうな笑顔＞

だった。

当然、メイトギアであり、エレクシアやイレーネとデータを共有しているメイフェアにもそれは分かる。

だからメイフェアも、群れの子供達を連れて誉ほまれのところに戻って深しんが会いたがってる旨を伝えてくれた。

と言っても、メイフェアからは見えている場所にいたんだけどな。誉ほまれを主人（仮）として頂くメイトギアとして、必要とあればすぐさま駆け付けられる位置までしか離れることはないし。

地球人社会でなら他のメイトギアをはじめとしたロボットが当たり前にいて常に人間を守るために機能してくれていることから、＜お遣い＞で主人の下を離れる場合もあっても、ここじゃその＜他のロボット＞がいないわけで。

エレクシアが、イレーネが代わりに俺の護衛をしてくれない限り俺の下を離れないのと同じだ。

「誉ほまれ様。深しん様がお会いになられたいそうです」

群れの子供達にまとわりつかれたままの状態でメイフェアが伝えた誉ほまれは、すっかり＜お祖父ちゃん＞な雰囲気になっていた。地球人の高齢者ほどではないにしても、深しんよりも明らかに年齢を感じさせる印象なんだ。

交こうと環かんを育て上げた以外は気ままな一人暮らしを続けていた彼女と違って、＜群れのボス＞として様々な事態に対処してきた彼の気苦労が年輪のように蓄積されているのかもしれない。

もっとも、＜ボスとしての役目＞はすでに実質的には＜轟とどろき＞が担ってくれていて、しかも成長した昴すばるもサポート役を担ってくれているのもあり、群れは安定した状態を保っていた。事実上の＜楽隠居＞だな。

そんな誉ほまれの子供は、蒼あおとの間に、保たもつ、翠みどり、紅くれない、拓ひらくの四人。静しずかとの間に、亨とおる。命みこととの間に、旭あきら、薫かおり、祈理いのりの三人がおり、それぞれが立派に育ってくれている。

パパニアンのボスとしてはむしろ少ない方だとしても、本当の野生のパパニアンだと途中で命を落とす子供も少なくないから、それで考えると十分だろう。