1,987 / 2,387
第四世代
深編 私ノ役目ダカラデス
しおりを挟む
「……」
何度かそうやってホビットMk-Ⅱがついてきてることを確認した和が、不意に移動するのをやめた。そして、
「どうしてついてくんの?」
ホビットMk-Ⅱに向けて声を掛ける。これに対して、
「アナタヲ守ルノガ私ノ役目ダカラデス」
相変わらず片言ではありつつ、ホビットMk-Ⅱも応えてみせた。
ちなみにホビットMk-Ⅱに発声機能を付けたにも拘らずドーベルマンDK-aやドーベルマンMPMにそれを付けてないのは、実は発声機能がホビットMk-Ⅱ以上に上手く動作しなかったからだ。なぜか本体側のAIと発声用の部品に備えられたAIとの間で解消が難しい齟齬があるらしく、駄目だったんだよ。ホビットMk-Ⅱが片言でしかしゃべれないのもその辺が関係してるようだ。アリスやドライツェンは最初からしゃべれるように設計したのもあってか流暢にしゃべってくれるんだけどな。
これもいずれは解消されるかもしれないものの、今のところはそこまで問題ってわけでもないから取り敢えずは後回しにしてる状態である。
とまあ、いつものように脱線しつつも、ホビットMk-Ⅱに話し掛ける和の様子を、錬慈に『遊ばれ』つつ見守る。
『アナタヲ守ルノガ私ノ役目ダカラデス』
そう告げるホビットMk-Ⅱに、和は腰に手をやって、
「ママに言われたから? 私は一人になりたいんですけど?」
少しムクれたような表情で口にした。これに対しても、
「申シ訳ゴザイマセン。ソノ要望ニハ応エラレマセン」
堅苦しい返答を。エレクシアやイレーネも似たような返答をするだろうが、その一方で、エレクシアやイレーネなら、和に気取られずに警護することだって造作もないだろう。隠密性能や静粛性も、ホビットMk-Ⅱとは次元が違う。
エレクシアやイレーネと同じことはできなくても、ホビットMk-Ⅱは自身に与えられた役目に忠実だ。
「ついてこないで!」
和は少し強くそう言い放って、逃げるように移動を再開した。そんな彼女の態度についても眉を顰めるのはいるだろうが、これも<自我>を持つがゆえの反応の一つだ。それを蔑ろにしていては<人間社会>というものが上手く機能しない事実は、無数の先例で確認されてきたことのはずだな。
ただ、彼女の反発を蔑ろにしないことと、彼女の安全を守るために敢えてそれを聞き入れないことについては、一見すると二律背反のようにも思えるものの、エレクシアやイレーネが彼女に気取られないようにして警護を行うことが可能なように、実は両立できないことでもないんだよな。
何度かそうやってホビットMk-Ⅱがついてきてることを確認した和が、不意に移動するのをやめた。そして、
「どうしてついてくんの?」
ホビットMk-Ⅱに向けて声を掛ける。これに対して、
「アナタヲ守ルノガ私ノ役目ダカラデス」
相変わらず片言ではありつつ、ホビットMk-Ⅱも応えてみせた。
ちなみにホビットMk-Ⅱに発声機能を付けたにも拘らずドーベルマンDK-aやドーベルマンMPMにそれを付けてないのは、実は発声機能がホビットMk-Ⅱ以上に上手く動作しなかったからだ。なぜか本体側のAIと発声用の部品に備えられたAIとの間で解消が難しい齟齬があるらしく、駄目だったんだよ。ホビットMk-Ⅱが片言でしかしゃべれないのもその辺が関係してるようだ。アリスやドライツェンは最初からしゃべれるように設計したのもあってか流暢にしゃべってくれるんだけどな。
これもいずれは解消されるかもしれないものの、今のところはそこまで問題ってわけでもないから取り敢えずは後回しにしてる状態である。
とまあ、いつものように脱線しつつも、ホビットMk-Ⅱに話し掛ける和の様子を、錬慈に『遊ばれ』つつ見守る。
『アナタヲ守ルノガ私ノ役目ダカラデス』
そう告げるホビットMk-Ⅱに、和は腰に手をやって、
「ママに言われたから? 私は一人になりたいんですけど?」
少しムクれたような表情で口にした。これに対しても、
「申シ訳ゴザイマセン。ソノ要望ニハ応エラレマセン」
堅苦しい返答を。エレクシアやイレーネも似たような返答をするだろうが、その一方で、エレクシアやイレーネなら、和に気取られずに警護することだって造作もないだろう。隠密性能や静粛性も、ホビットMk-Ⅱとは次元が違う。
エレクシアやイレーネと同じことはできなくても、ホビットMk-Ⅱは自身に与えられた役目に忠実だ。
「ついてこないで!」
和は少し強くそう言い放って、逃げるように移動を再開した。そんな彼女の態度についても眉を顰めるのはいるだろうが、これも<自我>を持つがゆえの反応の一つだ。それを蔑ろにしていては<人間社会>というものが上手く機能しない事実は、無数の先例で確認されてきたことのはずだな。
ただ、彼女の反発を蔑ろにしないことと、彼女の安全を守るために敢えてそれを聞き入れないことについては、一見すると二律背反のようにも思えるものの、エレクシアやイレーネが彼女に気取られないようにして警護を行うことが可能なように、実は両立できないことでもないんだよな。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
163
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる