1,983 / 2,626
第四世代
深編 馬鹿馬鹿しいほどシンプル
しおりを挟む
そうして、陽と麗の仲がいいことに拗ねて一人で密林の中を<散歩>していた和を、ドローンのアシストを受けながらホビットMk-Ⅱがついていく。
と言っても、そのままじゃまったくついていくことさえできていない。ドローンが彼女の位置を確実に捉えて常にホビットMk-Ⅱと情報共有しているから、彼女が立ち止まったり、方向転換した時にショートカットすることでかろうじて追いつけるだけではある。
これがドーベルマンDK-aならそのままでもなんとかついていけるんだが。
彼女を追って密林の中を駆けていくホビットMk-Ⅱの姿は、もはや<健気>でさえあるか。そんなホビットMk-Ⅱを気遣わない和のことを批判的に見る人間(地球人)さえいそうなくらいにはな。
でも、そうじゃないんだ。人間が道具であるロボットを気遣い過ぎるというのは、むしろ本末転倒なんだよ。特に、実年齢じゃまだ十歳でしかない和がそこまで配慮できる方がおかしいさ。光なんかは配慮もできるが、それはあくまで光が、
<経験を重ねて様々な配慮ができるようになった大人>
であるからこそのものだしな。
そういうもののはずなんだ。
体こそすっかり<地球人の成人>と同じそれになった和であっても、十歳じゃさすがに。
パパニアンとして生きる分にはもう十分な能力はある。実年齢で七歳や八歳でもう立派な<成体>になるパパニアンとしてなら。子供だって産めるし育ててもいけるだろう。だが、<人間>はそうじゃないんだよな。
今のここの社会なら、問題なく生きていくこともできるさ。仕組みも制度も、ほとんどないに等しいここでは、覚えなきゃいけないことも地球人社会に比べれば比較するのも馬鹿馬鹿しいほどシンプルだし。地球人社会においても十代半ばで成人として認められるような社会だった頃は、その後の異様なまでに複雑化して覚えなきゃいけないことがとんでもなく増えた社会と比べればやっぱりシンプルだったからこそ、そんな年齢でも成人としてやっていけたんだろうし。
その違いを理解もせず、
『昔は十代半ばで大人として生きられてた!』
みたいなことを言う奴の方こそが現実を見てないってもんだろうな。俺はそうとしか思わない。
だからこそ、和が子供っぽい未熟さを見せても、そのこと自体を責めるつもりはないんだよ。それどころか、彼女を責められるほど俺は立派な人間じゃないという事実しかないわけで。
それをわきまえてるとな、『頭ごなしに怒鳴ったりとかする』のがいかに幼稚かってのが分かるというもんだろ。
と言っても、そのままじゃまったくついていくことさえできていない。ドローンが彼女の位置を確実に捉えて常にホビットMk-Ⅱと情報共有しているから、彼女が立ち止まったり、方向転換した時にショートカットすることでかろうじて追いつけるだけではある。
これがドーベルマンDK-aならそのままでもなんとかついていけるんだが。
彼女を追って密林の中を駆けていくホビットMk-Ⅱの姿は、もはや<健気>でさえあるか。そんなホビットMk-Ⅱを気遣わない和のことを批判的に見る人間(地球人)さえいそうなくらいにはな。
でも、そうじゃないんだ。人間が道具であるロボットを気遣い過ぎるというのは、むしろ本末転倒なんだよ。特に、実年齢じゃまだ十歳でしかない和がそこまで配慮できる方がおかしいさ。光なんかは配慮もできるが、それはあくまで光が、
<経験を重ねて様々な配慮ができるようになった大人>
であるからこそのものだしな。
そういうもののはずなんだ。
体こそすっかり<地球人の成人>と同じそれになった和であっても、十歳じゃさすがに。
パパニアンとして生きる分にはもう十分な能力はある。実年齢で七歳や八歳でもう立派な<成体>になるパパニアンとしてなら。子供だって産めるし育ててもいけるだろう。だが、<人間>はそうじゃないんだよな。
今のここの社会なら、問題なく生きていくこともできるさ。仕組みも制度も、ほとんどないに等しいここでは、覚えなきゃいけないことも地球人社会に比べれば比較するのも馬鹿馬鹿しいほどシンプルだし。地球人社会においても十代半ばで成人として認められるような社会だった頃は、その後の異様なまでに複雑化して覚えなきゃいけないことがとんでもなく増えた社会と比べればやっぱりシンプルだったからこそ、そんな年齢でも成人としてやっていけたんだろうし。
その違いを理解もせず、
『昔は十代半ばで大人として生きられてた!』
みたいなことを言う奴の方こそが現実を見てないってもんだろうな。俺はそうとしか思わない。
だからこそ、和が子供っぽい未熟さを見せても、そのこと自体を責めるつもりはないんだよ。それどころか、彼女を責められるほど俺は立派な人間じゃないという事実しかないわけで。
それをわきまえてるとな、『頭ごなしに怒鳴ったりとかする』のがいかに幼稚かってのが分かるというもんだろ。
0
お気に入りに追加
189
あなたにおすすめの小説
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
前世で八十年。今世で二十年。合わせて百年分の人生経験を基に二週目の人生を頑張ります
京衛武百十
ファンタジー
俺の名前は阿久津安斗仁王(あくつあんとにお)。いわゆるキラキラした名前のおかげで散々苦労もしたが、それでも人並みに幸せな家庭を築こうと仕事に精を出して精を出して精を出して頑張ってまあそんなに経済的に困るようなことはなかったはずだった。なのに、女房も娘も俺のことなんかちっとも敬ってくれなくて、俺が出張中に娘は結婚式を上げるわ、定年を迎えたら離婚を切り出されれるわで、一人寂しく老後を過ごし、2086年4月、俺は施設で職員だけに看取られながら人生を終えた。本当に空しい人生だった。
なのに俺は、気付いたら五歳の子供になっていた。いや、正確に言うと、五歳の時に危うく死に掛けて、その弾みで思い出したんだ。<前世の記憶>ってやつを。
今世の名前も<アントニオ>だったものの、幸い、そこは中世ヨーロッパ風の世界だったこともあって、アントニオという名もそんなに突拍子もないものじゃなかったことで、俺は今度こそ<普通の幸せ>を掴もうと心に決めたんだ。
しかし、二週目の人生も取り敢えず平穏無事に二十歳になるまで過ごせたものの、何の因果か俺の暮らしていた村が戦争に巻き込まれて家族とは離れ離れ。俺は難民として流浪の身に。しかも、俺と同じ難民として戦火を逃れてきた八歳の女の子<リーネ>と行動を共にすることに。
今世では結婚はまだだったものの、一応、前世では結婚もして子供もいたから何とかなるかと思ったら、俺は育児を女房に任せっきりでほとんど何も知らなかったことに愕然とする。
とは言え、前世で八十年。今世で二十年。合わせて百年分の人生経験を基に、何とかしようと思ったのだった。
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第三章フェレスト王国エルフ編
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる