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第四世代
深編 割り切れない気持ち
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ホビットMk-Ⅱが見守ってくれている中で、和は、物憂げに視線を前に向けていた。その先には、俺達の集落。そこから、
「きゃあ♡ きゃあ♡」
と、萌花の笑い声が届いてくる。陽と麗に遊んでもらってはしゃいでいるんだ。
萌花に対してのヤキモチじゃない。萌花が二人に構ってもらえてることについてのヤキモチじゃないことは、俺にだって分かる。あくまで、陽と麗の仲がいいことに対してモヤモヤしてるんだってのが、普段の様子を見てれば分かるさ。
ただ、本来ならパパニアンも乱交型の繁殖を行う上に、ボスは複数の雌と番う形を取るから、別に麗に遠慮することなく陽と関係を持てばいいはずなんだ。そしてそれを咎める者はここにはいないし、禁止する法律も慣習もない。常識もない。
何より、和が望むなら陽はたぶん拒まない。加えて、麗も和となら陽を共有することを拒まないという予感はある。もちろん陽が自分以外の雌と番うこと自体はいい気はしなくても、強く反発しないといけないことじゃないとは感じてるはずなんだよな。
和よりも、姿もメンタリティもずっと野生のパパニアンに近いわけで。
実際、陽が和と仲良くしててもそんなにはっきりとヤキモチを妬いてる様子もなかった。不機嫌そうな表情をすることはあっても、和に攻撃を仕掛けるようなこともなかった。
それが何よりの<証拠>だな。
だから今回のことは、あくまで和自身の気持ちの問題だと思う。そうなるように仕向けたわけでも誘導したわけでもないが、ほんのわずかな差異が積み重なって大きな違いになったりすることもあるのと同じだろうさ。
地球でも、それまでは<通い婚>みたいなのが当たり前で、制度としての、
<一対一の婚姻関係>
が明確じゃなかった時代に、相手を独占したいがために婚姻制度を作ったのがいるらしいと聞いたことがあるが、当時としては画期的でありつつ、たとえ少数であっても従来の在り方に疑問を抱くのがいたからこそそんなことにもなったんだろうしな。
特に、そう考える者が権力を握ったからこそできてしまったというのもあるのか。
いずれはここでもそういう流れになったりするかもしれないものの、少なくとも今の時点では目立ったものにはなっていない。
和の様子だけが違ってるんだ。
そして、
『今は一対一の婚姻関係なんてものはないんだから気にするな!』
的に押し付けるのも違うと俺は思う。こうして割り切れない気持ちを和が抱えていることについてとやかく口出しするのも違うはずなんだ。
「きゃあ♡ きゃあ♡」
と、萌花の笑い声が届いてくる。陽と麗に遊んでもらってはしゃいでいるんだ。
萌花に対してのヤキモチじゃない。萌花が二人に構ってもらえてることについてのヤキモチじゃないことは、俺にだって分かる。あくまで、陽と麗の仲がいいことに対してモヤモヤしてるんだってのが、普段の様子を見てれば分かるさ。
ただ、本来ならパパニアンも乱交型の繁殖を行う上に、ボスは複数の雌と番う形を取るから、別に麗に遠慮することなく陽と関係を持てばいいはずなんだ。そしてそれを咎める者はここにはいないし、禁止する法律も慣習もない。常識もない。
何より、和が望むなら陽はたぶん拒まない。加えて、麗も和となら陽を共有することを拒まないという予感はある。もちろん陽が自分以外の雌と番うこと自体はいい気はしなくても、強く反発しないといけないことじゃないとは感じてるはずなんだよな。
和よりも、姿もメンタリティもずっと野生のパパニアンに近いわけで。
実際、陽が和と仲良くしててもそんなにはっきりとヤキモチを妬いてる様子もなかった。不機嫌そうな表情をすることはあっても、和に攻撃を仕掛けるようなこともなかった。
それが何よりの<証拠>だな。
だから今回のことは、あくまで和自身の気持ちの問題だと思う。そうなるように仕向けたわけでも誘導したわけでもないが、ほんのわずかな差異が積み重なって大きな違いになったりすることもあるのと同じだろうさ。
地球でも、それまでは<通い婚>みたいなのが当たり前で、制度としての、
<一対一の婚姻関係>
が明確じゃなかった時代に、相手を独占したいがために婚姻制度を作ったのがいるらしいと聞いたことがあるが、当時としては画期的でありつつ、たとえ少数であっても従来の在り方に疑問を抱くのがいたからこそそんなことにもなったんだろうしな。
特に、そう考える者が権力を握ったからこそできてしまったというのもあるのか。
いずれはここでもそういう流れになったりするかもしれないものの、少なくとも今の時点では目立ったものにはなっていない。
和の様子だけが違ってるんだ。
そして、
『今は一対一の婚姻関係なんてものはないんだから気にするな!』
的に押し付けるのも違うと俺は思う。こうして割り切れない気持ちを和が抱えていることについてとやかく口出しするのも違うはずなんだ。
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