未開の惑星に不時着したけど帰れそうにないので人外ハーレムを目指してみます(Ver.02)

京衛武百十

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第四世代

彗編 ほのぼのとした光景

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新暦〇〇三八年二月十日



こうして<カルラ>を迎え、清良せいらの育児生活が始まった。ここからさらに数年間、すい清良せいらに近付けないものの、そのすい自身がフォルトナを育ててることで、何とも充実した様子にも感じられる。彼にはそれが向いていたんだろう。

もちろん最初はただの興味本位だったのかもしれない。帰ってこない母親を求めて泣くフォルトナが気になってしまっただけなのかもしれない。そして気まぐれに彼女を拾ってきただけなのかもしれない。

だが、<きっかけ>なんてえてしてそんなものじゃないかな。俺がこうなったのだって、元々は望んだことじゃなかったし。

望んだことじゃなくても、結果として俺は今の自分を幸せだと感じてるし。

すいが果たして今の自分を『幸せだ』と感じてるのかどうかは分からない。そもそもそんなメンタリティもないのかもしれない。地球人の思う<幸せ>なんてのは、野生の生物にとってはそれこそ埒外のものなんだろう。得体のしれない感覚なんだろう。

それでも、自分が運んできた餌を懸命に貪るフォルトナを見つめている彼の表情には、穏やかささえ感じ取れる。

『幸せそう』にも見えるんだ。俺の目には。

これ自体がただの錯覚、ただの<希望的観測>なんだとしても、『俺にとってはそう』なんだよ。

だからすいがフォルトナを育て続けてるなら、彼にとっては必要なことだし続ける意味のあることなんだろうさ。

それでいいと思う。

人間同士でさえ完全には分かり合えないのに、人間と野生の生物とが分かり合えるとか、ただの<御伽話>だよな。

『分かり合えないということを分かる』

『分かり合えないということを分かった上でどう折り合うかを思案する』

それができるからこそ<人間>なんだと思う。野生の生物はそもそも『分かり合える』『分かり合えない』ということさえどうでもいいんだろうし。

すいについても、しょうについても、本当に『らしい』在り方だと思う。人間の都合なんか考えてない。

『エンターテイメントとして盛り上げないと人気が出ない』

とか、一ミリも関係ないんだ。彼にも彼女にも。人間が勝手に期待して勝手に失望してるだけ。

滑稽だよな。そして俺自身も、その<滑稽な人間>ではある。

すいがどう生きていくのかを、何とも言えない<期待>を込めて見てしまってるんだ。彼の子育てを楽しめる展開を心のどこかで。そんな自分がいるのも分かってる。

なのに、すいもフォルトナも、すごく淡々としている。

もちろん、フォルトナは子供らしく落ち着きない様子で、すいが運んでくれた餌をひったくるようにして受け取って、顔を血塗れにしてガツガツと貪ってたりするが。

そんな様子さえ今の俺には可愛いしほのぼのとした光景ではある。

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